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大動脈解離

別名 aortic dissection

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 急激な背部痛または胸痛で突然発症した場合には本症を疑う.
  2. 高血圧の既往をもつ場合が多く,激烈な痛みが持続し,大動脈の走行に沿って移動する場合がある.
  3. 大動脈破裂による出血性ショック,心タンポナーデ,主要分枝動脈の閉塞による症状(脳虚血,急性心筋梗塞,腸管虚血,四肢の阻血)を伴うことがあり,これらの症状が前景に立つこともある.
  4. 診察に際しては,頸部,鼠径部,および四肢末梢の脈の触知を確認し分枝閉塞の有無を確認する.
  5. 迅速,正確な診断には造影 CT が最も有用であり,解離の存在する解剖学的部位,血栓閉塞の有無,各分枝の状態(偽腔還流か真腔還流か)の把握が可能であり,治療方針の決定につながる.
  6. 上行大動脈に解離を有するもの(Stanford A)については,緊急手術を前提に心臓血管外科にコンサルトすることが必要である.
  7. Stanford B についても,解離により分枝の狭窄や閉塞により臓器障害,上下肢の阻血,対麻痺などをきたしている場合には緊急手術の対象となる.
  8. 内科的保存療法が適応の病型についても,厳重な観察,管理が必要.
  9. 慢性期にも残存解離腔の拡大をきたすことがあり,厳重な血圧管理と6 カ月~1年ごとのCT フォローが必要.
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診断・検査

①造影CT 検査
 確定診断のための検査としてはCT が最も有用であり,造影CT により病型の把握が可能となる.治療方針の決定にも有用であるため,可能な限り,造影CTを行うことが勧められる.慢性期の経過観察に際しては6カ月~1年おきにCT を施行し手術適応の検討を行う.また,近年,その効果が期待されているステントグラフト内挿術に際しては1mm スライスの詳細なCT データが有用である.
②超音波検査
 経胸壁エコーは非侵襲的であり,左右傍胸骨・胸骨上窩・鎖骨上窩などからのアプローチにより,上行大動脈については解離の有無,内膜亀裂の位置,分枝への解離の波及の有無,大動脈弁逆流や心嚢液貯留の有無など,得られる情報量は多い.また腹部大動脈の分枝する腹腔動脈,上腸間膜動脈,腎動脈,総腸骨動脈の観察が可能である.
③心電図
 心筋虚血を伴えば心電図変化を認めるが,合併率は10%以下と多くはない.
④胸部Xp
 縦隔拡大が診断の手掛かりとなるが,非特異的である.
⑤血管造影
 分枝の評価などに有用であるが,侵襲度が高く,現在ではCT の進歩により通常の急性期診断に際してはCT での代用が可能である.
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