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慢性膵炎

別名 chronic pancreatitis

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 慢性的な膵実質の炎症により,間欠的な腹痛発作を起こしながら,徐々に膵の内外分泌機能が低下する疾患である.
  2. 成因別にアルコール性と非アルコール性に分類する.
  3. 膵実質の石灰化や膵管内に結石を伴うような典型例では診断は容易だが,発症早期では必ずしも容易ではない.
  4. アルコール性慢性膵炎では必ず断酒に至るよう指導する.
  5. 膵石や,仮性嚢胞などの合併症に対処しつつ,可能なかぎり膵機能を温存することを主眼に治療戦略を立てる.
  6. 自然史には不明な点が多いが,死亡原因として膵臓癌をはじめとする癌死が約半分と一般人口に比較して癌死率が高い.この傾向はアルコール性でより顕著である.
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診断

 慢性的な上腹部痛を訴える患者,特にアルコール摂取量が多い患者では必ず考慮する.血清の膵酵素(アミラーゼリパーゼ)は上昇ないし低下していることが多いが,正常範囲内であることもある.腹部超音波ないしCT を施行した際に慢性膵炎に特徴的な所見が得られれば診断はさほど難しくないが,これらの所見が出そろっていない段階では診断は難しくなる.急性膵炎様の強い腹痛(いわゆる「膵炎発作」)で救急医療機関を受診することも多く,そのような場合は膵酵素上昇や画像での膵腫大および膵周囲の脂肪織濃度上昇といった膵炎に特異的な所見がみられるので,膵炎の存在診断は困難ではない.むしろ「単なる一過性の急性膵炎か,慢性膵炎の初回発作か?」の鑑別に悩むことになる.両者の鑑別は経過の中で判断せざるを得ない部分もある.膵炎発作の期間中は治療は両者で大きく変らないので,慢性膵炎かどうかの判断は膵炎がいったん治癒してから慎重に行っていけばよい.また慢性膵炎だけではなく,腹痛の診断全般にいえることであるが,膵臓癌は常に腹痛診断のピットフォールになる.1 回の造影CT で異常がない場合でも,症状が遷延しているのであれば,数カ月間隔をあけたのちに画像検査を再検することも考慮するべきである.日本膵臓学会から慢性膵炎の診断基準(2009)が発表されているが,それまでの診断基準ではある程度病期が進行しなければ診断できなかった部分が「早期慢性膵炎」として取り上げられている点が特徴である(厚生労働省研究班:慢性膵炎臨床診断基準 2009 参照).
 診断の中心となる画像の解釈については「厚生労働省研究班:慢性膵炎臨床診断基準 2009」に記載してある特徴的な画像所見,特にCT での膵実質の石灰化,膵管内の膵石の存在(図1)などが慢性膵炎の診断の決め手となることが多い.MRCPでわかるほどの膵管の変化があるような場合は,膵臓癌との鑑別が必ず必要でERCP が必須であるが,ERCP 後膵炎のリスクは高い(ただし,重症膵炎になることは少ないといわれている).
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図1 石灰化と膵石を伴う典型的な慢性膵炎のCT
この症例では胆管狭窄を併発したため胆管ステントが留置されている.
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