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膵臓癌

別名 pancreatic cancer

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 膵臓癌の新規患者数は年間約3万人で,これは増加傾向にある.
  2. 膵臓癌においては患者数と死亡者数がきわめて近く,難治性癌の代表格といえる.
  3. 膵臓癌のリスクを有する患者に対して定期的に検査を行うことで,治癒可能性のある膵臓癌を見つけ出す努力をするべきであるが,臨床的に遭遇する膵臓癌の多くは手術不能なほど進行している.
  4. 長期予後が得られる唯一の治療法は外科的切除である.
  5. 手術不能進行癌に対しては放射線療法や化学療法などを併用して延命を図ることになるが,その効果は限定的である.
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診断

 上記のような症状のあった患者が受診した場合に,通常は上部消化管内視鏡と腹部超音波をまず施行することが多いと思われるが,膵臓(特に尾部)は超音波で死角となることもある.これらのスクリーニング検査で異常を指摘できず,かつ症状も改善がみられない場合は造影CT まで施行したほうがよい.症状が出るほどの膵臓癌であれば,造影CT で何らかの所見が得られることがほとんどであるが,慢性膵炎を基盤に有している症例や,膵癌に随伴して生じた膵炎が前景に立つ症例では,膵癌が存在することの診断は時に困難である.これらの画像診断で膵に何らかの異常がみられた場合,質的診断を行う.通常の膵臓癌は,hypovascular(乏血性)の腫瘤として認められる.主膵管に変化が及んでいる場合は腫瘤より尾側の膵管拡張や,尾側膵の萎縮を伴うこともある(図1).
 典型的な膵癌の所見がCT で得られたら,診断のためにそれ以上の検査は必須ではないが,限局性の膵管拡張や,貯留嚢胞(末梢の膵管の閉塞により生じる膵嚢胞)といった膵癌の間接所見のみしか得られない場合は,さらなる検査が必要になる.細胞診が得られるという点から確定診断のためにERCP を選択する場合もあるが,ERCP 後膵炎のリスクを負う.MRCP は微妙な膵管の変化までとらえることはできず病理検体も得られないが,非侵襲的でありERCP よりこちらを勧奨する意見もある.PET 検査は腫瘤が認められた場合には良悪性の鑑別に有用であるが,こちらも腫瘤が小さい場合にはその鑑別能力はかならずしも高くない.
 膵癌と診断されれば,次にステージングを行う.膵癌検出のために施行したCT で周囲浸潤,脈管侵襲,他臓器転移についても診断できることが多いが,脈管侵襲について疑義がある場合は,超音波内視鏡(EUS)が有用である.
 これらの画像所見をもとに,膵癌取扱い規約に基づいて臨床ステージを決定する(表1).また,CEA,CA19-9,DUPAN-2 などの腫瘍マーカーが測定されるがあくまでも病勢を把握するための検査であり,診断に用いることはできない.
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図1 膵臓癌の典型的な造影CT画像
膵体部の乏血性腫瘤と尾側膵管の拡張が認められる.
表1 膵癌のステージ分類
表はPC版サイトをご覧ください
T1:腫瘍は2 cm 以下で膵内に限局
T2:腫瘍は2 cm 以上だが膵内に限局
T3:腫瘍は膵外まで進展
T4:腫瘍は血管や隣接臓器まで浸潤
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