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副腎白質ジストロフィー

略称 ALD
別名 X-linked adrenoleukodystrophy

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. X 染色体連鎖性劣性遺伝の疾患で副腎不全と中枢神経の脱髄を主体とする疾患である.
  2. 臨床症候と血清中の極長鎖脂肪酸の増加で診断される.
  3. 大脳の脱髄を主病変とする型,副腎脊髄末梢神経に病変を有する型,副腎不全のみを呈する型がある.
  4. 神経症候と頭部 MRI 所見が軽度な場合には造血幹細胞移植が試みられる.
  5. 本症は特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定されており,医療費の公費による補助がある.
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検査・診断・治療

 ABCD1(Xq28)の変異のため,ペルオキシソームで分解される極長鎖脂肪酸(very long chain fatty acid:VLCFA)のペルオキシソームへの輸送障害を生じ,副腎不全と中枢神経系の脱髄を主体とするX 染色体連鎖性劣性遺伝の疾患である.病型は小児大脳型ALD,思春期大脳型ALD,成人大脳型ALD,小脳脳幹型,adrenomyeloneuropathy(AMN),Addison単独型,症候性女性保因者の臨床型がある.最も多いのは小児大脳型であり,精神症状,知能障害,皮質盲,歩行障害,錐体路徴候,感覚障害,自律神経障害,副腎不全症状など多彩な症状を示し,数年で除脳硬直の状態となる.二番目に多い型であるAMN は,思春期から成人期に発症し,痙性対麻痺,感覚障害排尿障害,陰萎,末梢神経障害を生じる.AMN から大脳型へ移行する症例もある.また,女性保因者で30 歳以降に痙性対麻痺を呈する例がある.
 生化学的にはVLCFA の増加が中枢神経系だけでなく,血漿,赤血球膜,白血球などにおいても見出される.診断は血清中脂肪酸分析によりVLCFA(C24:0,C25:0,C26:0)のC22:0 に対する比率の増加(正常者の2~3 倍)でなされる.頭部CT,MRIで,大脳型では頭頂葉から後頭葉白質にT2 高信号,T1 低信号の白質病変を認める.副腎機能検査(血中コーチゾル,ACTH 刺激試験)で異常を認めることがある.
 治療はLorenzo’s oil(オレイン酸:エルカ酸の4:1 の比率の混合オイル)の内服治療が行われる.特に無症候で頭部MRI が正常の男児に対してはMRI 異常の出現を低減するとされる.小児の急性大脳AMN 型で中枢神経症候が軽度,かつ頭部MRI で脱髄病変が軽い男児では造血幹細胞移植が有効である.副腎不全には副腎皮質ステロイドの補充療法が行われる.
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