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ハンチントン病、有棘赤血球を伴う舞踏病(有棘赤血球舞踏病、McLeod症候群)

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. ハンチントン病(Huntington disease)は舞踏病と認知症や人格障害などの精神症状を呈する常染色体性優性の慢性進行性の遺伝性神経疾患である.CAG リピートの伸長を生じるポリグルタミン病である.
  2. ハンチントン病の根治療法はなく,不随意運動,精神症状に対する対症療法を行う.
  3. ハンチントン病は厚生労働省の特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定されており,医療費の公的補助の対象である.
  4. 有棘赤血球を伴う舞踏病として有棘赤血球舞踏病(chorea-acanthocytosis),McLeod 症候群(McLeod neuroacanthocytosis syndrome)などがある.不随意運動,認知障害・精神症状,有棘赤血球を認め,確定診断は遺伝子診断による.
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検査・診断

1.ハンチントン病(Huntington disease)
[検査]
 一般検査では異常を認めない.画像検査では頭部CT と頭部 MRI で尾状核の萎縮,側脳室の拡大,大脳皮質の萎縮がみられる.診断は臨床経過,神経症候,家族歴および画像所見から行う.また,老人性舞踏病,薬物性舞踏病,小舞踏病,有棘赤血球舞踏病などの舞踏病を生じる他の疾患の除外が必要である.確定診断は遺伝子診断による.遺伝子診断を行う場合は日本神経学会の「神経疾患の遺伝子診断ガイドライン 2009」を参考にする.

2.有棘赤血球を伴う舞踏病(chorea-acanthocytosis)
[検査]
 末梢血検査で赤血球の5~50%に有棘赤血球を認める.画像検査にて,頭部 CT と頭部MRI で尾状核の萎縮を認める.神経伝導検査で運動神経伝導速度の低下を認める.

3. McLeod 症候群(McLeod neuroacanthocytosis syndrome)
 不随意運動,認知障害,精神症状,感覚運動性ニューロパチーを呈し,有棘赤血球を伴うX 染色体性劣性遺伝の変性疾患である.原因遺伝子は膜輸送蛋白XK をコードするXK(Xp21.1)である.発症年齢は30~40 歳代であり,口周囲,四肢の不随意運動,認知障害,精神症状,痙攣,軸索障害型の感覚運動性ニューロパチー,神経原性筋萎縮,ミオパチー,拡張型心筋症が進行性に出現する.末梢血検査にて,有棘赤血球を認める.免疫学的に赤血球のKX 抗原の消失とKell 抗原の低下がみられる.画像では頭部CT と頭部MRI にて,尾状核と被殻の萎縮が認められる.筋電図では神経原性変化と筋原性変化を認め,神経伝導検査では軸索障害性の末梢神経障害の所見がある.確定診断は遺伝子診断による.死亡時年齢は平均53 歳,死因は心合併症,痙攣発作,誤嚥性肺炎である.
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