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骨髄異形成症候群

略称 MDS
別名 myelodysplastic syndrome

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 日本人における有病率は 10 万人中 2.7 人である.60 歳以上の高齢者に高率に認められるのが特徴である.
  2. 厚生労働省「骨髄異形成症候群の診断基準と診療の参照ガイド」(厚生労働省 特発性造血障害に関する調査研究班(平成25年度改訂版) 参照)を基準に考える.
  3. 診断時の臨床症状の多くは血球減少に基づくもので,特異的なものはない.貧血症状,出血症状が多いが,健康診断で偶然,血液異常所見を指摘され,診断の端緒となることも多い.
  4. 検査所見
     ①血液検査における血球減少および正ないし過形成骨髄(低形成骨髄)も認めるが,再生不良性貧血との鑑別が困難なことが多い.
     ②異形成像と総称される血球形態異常,高リスク群では芽球が増加.
     ③約 50%前後に骨髄細胞の染色体異常
     ④血清高値,血清フェリチン高値など過剰症の所見と血清エリスロポエチン活性高値.
     ⑤無効造血の生化学的所見(血清ハプトグロビン低下,間接ビリルビン値上昇,LDH 高値).
     ⑥末梢血 WT1mRNA(ウィルムス腫瘍-1 遺伝子の mRNA であり,MDS の診断補助,もしくは進行度モニタリングマーカーとして使用)の上昇.
  5. 同種造血幹細胞移植以外に治癒はない.造血幹細胞移植非適応例では IPSS,IPSS-R で層別化し,高リスク群では DNA 脱メチル化薬であるアザシチジン療法や急性骨髄性白血病に準じた化学療法が行われ,低リスク群ではアザシチジン療法,免疫抑制療法,輸血やサイトカインなどの支持療法が行われる.
  6. 予後不良で,生存期間中央値は低リスク群で 5 年,高リスク群では 1~2 年,白血病化率は低リスク群で 10~15%,高リスク群では 40~70%である.死因としては白血病死と感染や出血などの骨髄不全死が多い.予後因子としては骨髄中の芽球比率,染色体異常,血球減少の程度などが言われていたが,近年は特に染色体異常に重きが置かれる傾向にある.
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検査所見

①末梢血液所見
貧血を主とするが,種々の程度の血球減少を示す.汎血球減少か 2 血球減少を呈するものが約 80%を占める.貧血は,大球性または正球性である.
②骨髄血所見
90%前後の症例は正ないし過形成骨髄であるが,一部に低形成性骨髄の所見を示す.低形成の場合は再生不良性貧血との鑑別が困難な場合が多い.また,骨髄血や末梢血での芽球比率は最も予後を左右する重要な所見である.
③血球形態異常
診断規準に提示されている特徴的な異形成が,骨髄血および末梢血中に認められる.環状芽球,偽Pelger 核異常(低分葉核)好中球,無顆粒球好中球,微小巨核球の4つはとりわけ異形成所見として重視される.ただし,血球形態異常は MDS に特異的ではなく,ビタミンB12や葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血や重症感染など他の原因を除外する必要がある.
④その他
血清高値,血清フェリチン高値など過剰症の所見と血清エリスロポエチン活性高値.
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