全身性強皮症
略称 | SSc |
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別名 | systemic scleroderma |
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
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Clinical Chart
- 全身性強皮症は皮膚や血管および内臓の線維化による硬化を特徴とし,慢性に経過する疾患である.
- レイノー症状で初発し,手指の浮腫状の硬化が出現する.レイノー症状は先行症状として数年に及ぶことはよくある.皮膚病変は進行すると皮膚症状が手首を超え近位側に広がる症例と,とどまる症例に分かれる.前者はびまん型強皮症,後者を限局型強皮症と呼ぶ.
- 推定患者数は,20,000 人以上いると推定されている.30~50 歳代に好発し,男女比 1:7 である.
- 全身性進行性硬化症(progressive systemic sclerosis:PSS)の名称が用いられていたが,進行性の症例ばかりではないため,progressive がはずれて systemic sclerosis(SSc)と呼称されている.和訳すると「全身性硬化症」であるが,現在では「全身性強皮症」の呼称が一般的になりつつある.
- 「限局性強皮症 Morphea」は皮膚のみに硬化が起こるまったく別の病気である.混同を避ける意味で,単に強皮症 Scleroderma と呼ばず,全身性 Systemic をつけて呼ぶことが良い.
- SSc は,国の特定疾患に指定されており,申請すれば医療助成を受けることができる.
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検査(図1)
①血液検査
抗核抗体は90%以上で陽性となる.
自己抗体は,抗トポイソメラーゼⅠ(抗Scl-70)抗体,抗RNA ポリメラーゼ抗体,抗セントロメア抗体,抗U1-RNP 抗体が出現する.抗トポイソメラーゼⅠ(抗Scl-70)抗体はびまん型強皮症(diffuse SSc)に出現する疾患標識抗体であり,抗RNA ポリメラーゼ抗体も出現すると腎クリーゼのリスクが高くなる.抗セントロメア抗体は限局型強皮症(limited SSc)に出現する疾患標識抗体である.抗U1RNP 抗体はどちらの群にも出現するが,肺高血圧のリスクが高まる.
②画像検査
抗核抗体は90%以上で陽性となる.
自己抗体は,抗トポイソメラーゼⅠ(抗Scl-70)抗体,抗RNA ポリメラーゼ抗体,抗セントロメア抗体,抗U1-RNP 抗体が出現する.抗トポイソメラーゼⅠ(抗Scl-70)抗体はびまん型強皮症(diffuse SSc)に出現する疾患標識抗体であり,抗RNA ポリメラーゼ抗体も出現すると腎クリーゼのリスクが高くなる.抗セントロメア抗体は限局型強皮症(limited SSc)に出現する疾患標識抗体である.抗U1RNP 抗体はどちらの群にも出現するが,肺高血圧のリスクが高まる.
②画像検査
- ①肺:間質性肺炎や肺線維症には胸部CT,肺活量,気管支鏡による気管支肺胞洗浄液分析などが行われる.肺高血圧には,ECG,心エコー検査で診断され,心カテで重症度評価を行う.
- ②食道:食道造影検査では下部食道は内腔径が拡張し大根状の先細り陰影を見る.
- ③皮膚:皮膚生検で,真皮層の膠原線維の浮腫や,線維束が太くなり緊密化し,進行すると皮膚付属期の消失がみられる(van den Hoogen F, et al:Arthritis Rheum 65:2737-2747, 2013., Ann Rheum Dis 72:1747-1755, 2013 参照).
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