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ベーチェット病

別名 Behçet disease

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 口腔粘膜のアフタ性潰瘍,皮膚症状,眼のぶどう膜炎,外陰部潰瘍を 4 大主症状とし,急性の炎症性発作を繰り返す多臓器侵襲性の難治性の疾患である.
  2. 4 主徴を満たすものを完全型,そうでないものを不全型と分類する.生命予後に関与する病態を特殊型ベーチェット病と分類し,腸管の潰瘍性病変を示す腸管型,大小の動静脈病変をきたす血管型,髄膜や脳幹・小脳大脳の白質の病変を示す神経型などの 3 型がある.
  3. 4 主徴や副症状は時を同じくして出現することはまれで,ばらばらに出現することが多い.副症状や特殊型が先行して出現する場合,診断は困難となる.疾患標識抗体はないが,針反応見られベーチェット病に特有とされ補助的診断価値がある.
  4. 特定疾患受給者数は,17,290 人(2012 年)で,男女比はほぼ同数,発症年齢は 30 歳代にピークがある.近年,発病平均年齢の上昇,完全型の減少と不全型が増加し半数以上を占め,軽症型の女性患者が増加している.
  5. 本症での失明率の高いことや,20 歳代後半から 40 歳代にかけての働き盛りに発病が多いこと,腸管型や血管型,神経型などの特殊型ベーチェット病の死亡が少なからずみられたことから,医学的のみならず,社会的にも注目を集めた.
  6. ベーチェット病は,国の特定疾患に指定されており,申請すれば医療助成を受けることができる.
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診断(図1)

 原因が不明の白血球増多を伴う炎症性疾患で,血液検査でRF や抗核抗体,抗CCP 抗体や各種自己抗体が陰性であることを確認することが前提となる.
<ベーチェット病臨床診断基準>(厚生労働省研究班,2003 年)
1 .主症状
  1. ①口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍
  2. ②皮膚症状:a:結節性紅斑様皮疹,b:皮下の血栓性静脈炎,c:毛嚢炎様皮疹,
     参考所見:皮膚の被刺激性亢進
  3. ③眼症状:a:虹彩毛様体炎,b:網膜ぶどう膜炎(網脈絡膜炎),c:以下の所見があればabに準ずる.
     abを経過したと思われる虹彩後癒着,水晶体上色素沈着,網脈絡膜萎縮,視神経萎縮,併発白内障,続発緑内障,眼球癆
  4. ④外陰部潰瘍

2 .副症状
  ①変形や硬直を伴わない関節炎
  ②副睾丸炎
  ③回盲部潰瘍で代表される消化器病変
  ④血管病変
  ⑤中等度以上の中枢神経病変

3 .病型診断の基準
  1. ①完全型:経過中に4 症状が出現したもの
  2. ②不全型:a:経過中に3 主症状,あるいは2 主症状と2 副症状が出現したもの,b:経過中に定型的眼症状とその他の1 主症状,あるいは2 副症状が出現したもの
  3. ③疑い:主症状の一部が出没するが,不全型の条件を満たさないもの,および定型的な副症状が反復あるいは増悪するもの
  4. ④特殊病型:a:腸管(型)ベーチェット病 腹痛,潜血反応の有無を確認する.b:血管(型)ベーチェット病 大動脈,小動脈,大小静脈障害の別を確認する.c:神経(型)ベーチェット病 頭痛,麻痺,脳脊髄症型,精神症状の有無を確認する.

<ベーチェット病の主症状および副症状と鑑別疾患>
・ 口腔粘膜症状:ヘルペス口唇・口内炎(単純ヘルペスウイルス1 型感染症)
・ 外陰部や陰茎の潰瘍:単純ヘルペスウイルス2 型感染症,Reiter 症候群
・ 結節性紅斑様皮疹:結節性紅斑,バザン硬結性紅斑,サルコイドーシス,Sweet 病
・ 関節炎症状:関節リウマチ全身性エリテマトーデス,強皮症などの膠原病,痛風,
  乾癬性関節症
・ 消化器症状:急性虫垂炎,Crohn 病,潰瘍性大腸炎,急性・慢性膵炎
・ 副睾丸炎:結核
・ 血管系症状:高安動脈炎,Buerger 病,動脈硬化性動脈瘤,深部静脈血栓症
・ 中枢神経症状:感染症・アレルギー性の髄膜・脳・脊髄炎,全身性エリテマトーデス
  脳・脊髄の腫瘍,血管障害,梅毒,多発性硬化症,精神疾患,サルコイドーシス
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図1 ベーチェット病の診断に必要な検査と手順
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