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食物アレルギー

別名 food allergy

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. わが国における即時型アレルギーの乳児期有病率は 5~10%,学童期の有病率は 1~2%と推測されており,原因食品は鶏卵,乳製品,小麦,そば,エビ,ピーナッツが多い.
  2. 消化器症状,呼吸器症状,皮膚症状,全身症状など,さまざまであるが,なかでも全身性にアレルギー症状が引き起こされ,複数臓器に症状が出現することで生命に危機を与えうるアナフィラキシーおよびアナフィラキシーショックに対しては迅速な評価と対応が必要である.
  3. 食物アレルギーの最も信頼のおける検査は食物経口負荷試験であるが,アナフィラキシーを誘発するリスクも高い.
  4. 食物アレルギーの原則は,「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去」である.
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食物アレルギーの診断と検査(経口負荷試験以外)

 食物アレルギーの診断には,特定食品の同定,症状の発現時期や性状の確証,診察所見が必要である.問診のポイントとしては,食品の種類,摂取量,摂取から症状が発現するまでの時間,再現性(既往),その他の条件(運動や薬剤など)の有無の確認が必要である.
 食物アレルギー診断のフローチャートを「日本小児アレルギー学会:食物アレルギー診療ガイドライン2012」に示す.
 ほとんどの場合,詳細な問診によって原因となる食品の同定は可能であるが,ポイントは,症状を起こす食品の種類,摂取量,摂取から症状出現までの時間,症状の性状,発症した年齢,家族歴などである.さらに再現性の確認,症状を起こす他の条件(運動や薬物)の有無などを明確にする必要がある.
 アトピー性皮膚炎などの非即時型の慢性症状がある場合,まずは適切なスキンケア,薬物療法,環境整備により,食品以外の誘発因子や症状の増悪因子を取り除くことが重要である.スキンケアに関しては,皮膚の清潔と保湿が基本であり,詳細は「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2009」などを参照する.薬物治療に関しても同ガイドラインを参考に,ステロイド外用薬を中心とする.
①皮膚テスト
 食品アレルギーの原因を診断するための皮膚検査に,食物抗原による皮内テストは偽陽性率が高く,アナフィラキシー反応を起こしやすいため,あまり推奨されない.皮膚プリックテスト(skin prick test:SPT)では陽性的中率は低いが,陰性所見では95%以上の可能性でIgE を介した即時型アレルギーを否定できる.
②血中抗原特異的IgE 抗体
 特異的IgE 抗体は即時型アレルギーに関与しているものであるが,その抗体価が陽性であることは必ずしも症状の出現を意味するものではない.また症状の重症度とも相関しない.これらは食品の種類や年齢によって異なってくる.
 しかし,卵,牛乳,ピーナッツ,小麦などの一部の食品に関しては特異的IgE 抗体価と食物負荷試験即時型反応の陽性率との関連を示すプロバビリティカーブ(probability curve)が参考になる(日本小児アレルギー学会:食物アレルギー診療ガイドライン2012 参照).
 これらの検査は即時型反応を指標として求められているので,非即時型反応には適応できない.
③好塩基球ヒスタミン遊離試験
 好塩基球ヒスタミン遊離試験(histamine release test:HST)は,採取した血液から分離した好中球にアレルゲンを添加し,放出されたヒスタミンの量を測定する検査である.アレルゲン同定の補助診断として,アナフィラキシーの既往があるハイリスク患者に負荷試験を行うことなく,安全に施行できるというメリットがある.HRT は抗原により診断的有用性は異なり,卵,牛乳,小麦については有用性が高い一方で,大豆,米についてはやや劣る.
④食物除去試験
 原因と思われる食物とそれを含むすべての食品を完全に除いた食事を数日~2 週間程度続け,喘息やアトピー性皮膚炎などの症状が改善するかを観察する.母乳または混合栄養児の場合,検査中は母親も同様に食物除去を行う必要がある.
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