亀頭包皮炎・嵌頓包茎・精巣（睾丸）捻転症

●亀頭包皮炎

1. 小児ではほとんどがブドウ状球菌などの雑菌による感染である．成人では糖尿病などの全身疾患に伴うものや，真菌や性感染症が原因である．
2. 包皮の翻転が可能なら消毒，恥垢の除去後，抗菌薬含有軟膏を塗布し，入浴時にシャワーなどでの局所清潔を指導する．
3. 成人では全身疾患の症状の一部であることがあり，難治性の場合には皮膚科医師との連携も必要である．

●嵌頓包茎

1. 狭い包皮輪が無理に亀頭上冠状溝を越えて翻転し，元に戻せなくなった状態を嵌頓包茎という．
2. 仮性包茎の場合で絞扼輪（包皮の内外板の移行部）が亀頭より中枢側で冠状溝部を締めつけ循環障害を起こし，亀頭はひどければ暗赤色になり包皮は著明なリンパ浮腫になる．放っておけば，絞扼輪部でびらん亀裂となり感染が加わり蜂窩織炎となる．
3. 用手的に浮腫を陰茎中枢側のほうに移す要領で圧迫し，整復するが切開を加えないと整復できない場合もある．

●精巣（睾丸）捻転症

1. 緊急性のある疾患である．時機を逸すと捻転側の造精機能・ホルモン産生能は廃絶する．
2. 精巣捻転症における精巣の救済率は 6 時間以内で 90％，12 時間以内で 50％，24 時間以内で 10％，24 時間以上で 0％である．
3. 鑑別疾患として陰嚢内附属器捻転や急性精巣上体炎などがあるが，鑑別困難の場合も多く，迷ったときは患者家族に十分説明したうえで躊躇せず手術を行うべきである．

１．亀頭包皮炎
［検査］
　視診にて陰茎の確認と，可能な限り包皮を翻転し，亀頭・包皮・内板の膿汁・発赤・腫脹を確認する．包皮の浮腫・発赤や陰茎の腫脹が強い場合には，包皮の牽引や翻転が困難な場合がある．

２．嵌頓包茎

３．精巣（睾丸）捻転症
［検査］
①下腹部痛のみで発症し，その臓器の特異性から陰嚢内容の痛みを患者が訴えないこともあるので，下着をずらし陰嚢まで観察すること．時間がたっていれば患側陰嚢皮膚の発赤腫脹（＋）となり，精巣を挙上すると疼痛は増強する（Prehn’s sign 陽性）．患側精巣が横向きで健側より高位に（とくに左側の場合，通常右より低位なのに上がっている）なっていることがある．
②カラードプラー超音波検査は迅速で簡便性に優れ高い正診率を示し信頼性の高い検査法とされており，陰嚢内容の状況や精巣内の血流の状態を観察するのに有用である．
③白血球増多，CRP 上昇，膿尿は通常（－）である．
④MRI や^99mTc 精巣シンチグラフィーでの検査は診断に有用であるとされるが，これらの検査ができる施設は限られており，救急対応疾患であるため一般的な検査ではない．