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急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍(扁桃周囲炎)

別名 acute tonsillitis,peritonsillar abscess(peritonsillitis)

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 急性扁桃炎は,主に口蓋扁桃の常在細菌が活動して急性炎症を起こす病気である.常在細菌のほかにウイルス感染で起こることもある.
  2. 扁桃周囲膿瘍は,扁桃に生じた炎症が扁桃被膜外に波及して扁桃周囲炎を生じ,さらに膿瘍を形成した状態である.
  3. 急性扁桃炎の症状は,咽頭痛,発熱などであるが,扁桃周囲膿瘍は,高熱,激しい咽頭痛(通常は片側)と開口障害が出現する.嚥下痛も高度で,唾液の飲みも困難なことが多い.
  4. 治療は,急性扁桃炎は抗菌薬と消炎鎮痛薬の内服で軽快することが多い.扁桃周囲膿瘍は,膿瘍の穿刺(切開)排膿などの外科的処置が必要ある.
  5. 重症・再発の扁桃周囲膿瘍は,扁桃摘出術を行い,治療期間の短縮,再発予防を図ることがあるので耳鼻科に紹介する.
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チェックリスト

①症状
  1. ①咽頭痛,発熱.扁桃周囲膿瘍は,激しい咽頭痛と開口障害,嚥下痛と嚥下困難が特徴.
  2. ②重症例は,高熱,全身倦怠感,脱水状態となる.
  3. ③小児では,経口摂取の不能により脱水症状となって重症化するので注意が必要.
②診断
  1. ①咽頭所見:口蓋扁桃の状態を観察する.口蓋扁桃の発赤・腫脹,陰窩に一致して膿栓・白苔(図1).扁桃周囲膿瘍では,患側口蓋扁桃・口蓋弓・軟口蓋が強く発赤し前方に膨隆し,口蓋垂が健側へ偏位してみえる(図2).
  2. ②血液検査:白血球の増加,CRP 陽性などをチェックし,さらに重症例では全身状態の評価に必要な肝機能・腎機能などの検査を行う.
  3. ③扁桃の細菌培養検査:扁桃陰窩(扁桃周囲膿瘍は穿刺した膿)の細菌培養検査.溶連菌感染が疑われる場合は感染症迅速検査キットが有用.
  4. ④画像診断:扁桃周囲膿瘍では,CT やMR が膿瘍の部位や範囲の診断に有用.

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図1 咽頭所見
図2 左扁桃周囲膿瘍の所見
咽頭痛が強く開口が制限されることあり.
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