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いわゆる湿疹について

別名 eczema, dermatitis

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 湿疹とは,紅斑,丘疹,水疱などが種々の程度に混在し,掻破などの影響で慢性化すると苔癬化が起こる炎症性病変である.
  2. 湿疹は生体外の異物に対する生体側の防御反応である.
  3. 臨床的にいくつかの病型があるが,まとめて湿疹皮膚炎群として取り扱うことが可能.
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診断

アトピー性皮膚炎
①診断
 慢性再発性の炎症性病変で年齢により皮疹の分布に一定の傾向がみられる.診断は「日本皮膚科学会」の診断基準に従う.アトピー性皮膚炎と診断するには「日本皮膚科学会」にある疾患を除外する必要がある.これらの疾患を除外することなく,安易にアトピー性皮膚炎と診断することは慎むべきである.治療という観点からは慢性の湿疹と理解するだけで十分である.なお小児疾患も参照されたい.

[接触皮膚炎]
①診断
 皮膚炎を起こす異物(接触源)が付着した部分に,その結果として生じる.異物と生体の関係によって,刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎に細分され,後者はⅣ型アレルギーによると考えられている.接触皮膚炎は生じる部位ごとにおもな接触源が知られている(図1).接触源の正確な同定には貼付試験(パッチテスト)が必要だが,そこまで必要になるケースは必ずしも多くない.

[脂漏性皮膚炎]
①診断
 いわゆる脂漏部位(頭部,顔面のT ゾーン部,腋の下など,皮脂の分泌が多いと考えられている部位)に生じる落屑性紅斑で,痒みはさまざまである.常在真菌(癜風菌)の関与が推定されている.ストレス・疲れ・不潔で悪化しやすい.

[手湿疹]
①診断
 急性期には紅斑,水疱などがみられるが,慢性期になると角質が肥厚し乾燥,亀裂がみられるようになる.水仕事の多い職種に好発する手湿疹は従来より主婦湿疹と呼ばれている.

[痒疹]
①診断
 苔癬化した丘疹が基本的な皮疹だが,通常痒みによる掻破のためさまざまな二次的変化が加わっていることが多い.痒疹は疾患概念が未整理な面があり,理解が困難かもしれない.プライマリケアのレベルでは「治らない湿疹,あるいは湿疹のなれの果て」と理解するのが簡便.

[皮脂欠乏性湿疹]
①診断
 受診数の多いトップ20 疾患には入っていないが,冬場に診察する機会が増える疾患である.皮膚の乾燥を基盤として,外的な刺激による刺激性接触皮膚炎を発症した状態である.ごく初期の段階では皮疹に気づかれずに「皮膚瘙痒症」と診断されることもある.初期病変としては,鱗屑の切れ目に沿って線状紅斑が出現するが,進行すると多発傾向のある漿液性丘疹からなる円形の湿潤性病変を一部では形成し,「貨幣状皮膚炎」とよばれる.さらに程度が進行すると,全身に丘疹,紅斑,小水疱が散在性に生じ,「自家感作性皮膚炎」とよばれる状態になる.
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図1 主な接触源と部位
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