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機能性ディスペプシア

略称 FD
別名 functinal dyspepsia

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. FDは,器質的疾患が除外された,主に上腹部の各種消化器症状についての疾患である.わが国では,2014年4月に,日本消化器病学会から「機能性消化管疾患診療ガイドライン―機能性ディスペプシア(FD)」が公表された.この中で,「ディスペプシアとは心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とした腹部症状をいう」と定義した.
  2. ガイドラインでは,「症状の原因となる器質的,全身性,代謝性疾患がないにもかかわらず,慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」とFDを定義し,わが国での有病率は「健診受検者の11~14%,上腹部症状を訴えた受診した患者の45~53%」と報告した.実に驚くべき数値であり,とても消化器専門医のみで対応できる患者数ではない.ガイドラインが謳うように,FDは,第一段階としてはプライマリケア医が担うべき疾患であるという認識をもつべきである.
  3. 問診,検査において,以下の項目に該当する場合,FDを念頭におく.①上腹部の症状に限定している.②一般検査に異常がない.③器質的疾患を疑いにくい.
  4. Rome Ⅲの研究用基準で,食後不定愁訴症候群(postprandial distress syndrome:PDS)と心窩部痛症候群(epigastric pain syndrome:EPS)の2型に分類されたが,ガイドラインではこの基準はわが国のFDに必ずしも適していないと指摘している.しかし,薬物治療を病態に基づき考えるうえでは,この呼称は当を得ている可能性がある.
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検査

  1. ①ガイドラインに記載された警告症状(アラームサイン)がないかどうかをチェックする.警告症状とは,①原因が特定できない体重減少,②再発性の嘔吐,③出血兆候,④嚥下困難,⑤高齢者(⑥腹部腫瘤,⑦発熱の有無)など.
  2. ②NSAID,低用量アスピリン(low dose aspirin:LDA)を使用していないかを確認.ガイドラインでは,LDA 使用者はFD には含めていない.
  3. ③器質的疾患を除外するため,血液検査,上部消化管内視鏡,腹部エコーなどを行う.さらに必要に応じて,便潜血検査,腹部X 線,腹部CT などを行う.
  4. H. pylori 感染症の有無をチェックする.
  5. ⑤専門医への紹介が不可欠になるが,胃適応性弛緩障害の検査や,胃排出機能検査など,消化管運動機能検査のほか,GERD(gastroesophageal reflux disease)との鑑別に,24 時間pH モニタリングなどを行う.

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