ルイス式血液型
ルイス式血液型
別名 | Lewis式血液型,Le式血液型 |
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臨床的意義
- 抗Lea抗体および抗Leb抗体は,検出頻度の高い不規則抗体であるが,ほとんどは食塩水法で凝集を示すIgM型の自然抗体で,おもにLe(a-b-)型の血清中に認められる.IgM型の抗体は,胎盤を通過せず,また,新生児ではLe抗原が未発達なので,新生児溶血性疾患の原因となることはない.しかし,約2%に37℃で反応するものがあり,特に補体結合性の抗Lea抗体は溶血性輸血副作用の原因となりうるので注意が必要である.
- したがって,受血者の血清中に抗Le抗体と思われる不規則抗体がみられ,交差適合試験や抗体スクリーニングにおいて酵素法やクームス法など37℃で強い反応を示す場合は,ルイス式血液型判定が必要である.
- 腫瘍マーカーの一つであるCA19-9は,Le抗原と同様,1型糖鎖を前駆体とし,その合成にはLe酵素を必要とする.したがって,Le酵素を持たないLe(a-b-)の個体では,CA19-9値はほぼ0U/mlで,癌があっても上昇せず,腫瘍マーカーとして用いることはできない.
- 糖鎖は細胞間相互作用,特に接着に大きく関与しているが,Helicobacter pyloriと胃粘膜の接着にも糖鎖が関わっており,H.pyloriの接着因子はLeb抗原に接着するという報告がある.
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( 村上純子 )
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