パルボウイルスB19
パルボウイルスB19
臨床的意義
- パルボウイルスB19の分離培養は現在のところ不可能なため,ウイルスの存在はB19DNAのPCRによる増幅によってその有無を検索している.さらに,増幅したDNAの解析によりウイルス株の決定が行われる.血中のPCRによるウイルスDNAの検出では,感染後約3週間(紅斑の出現前まで)は認められるようであるが,この間に抗体も産生され始めるので感染性は必ずしも反映していない.
- 小児に多く発症する伝染性紅斑(リンゴ病)の場合,両頬部における平手打ちをしたような蝶型紅斑と肩,四肢に後発する網状のびまん性の紅斑が特徴であり,臨床診断が可能である(成人では顔面の症状は際立ってなく,関節痛を伴った風疹に似た全身症状を示すので,風疹との鑑別が必要である).そのうえ予後は良好であり,しかも本症発症(発疹出現)時にはすでに抗体も産生され感染性ウイルスの排出は終わっていることもあり,本検査の必要性は低い.
- しかし,慢性溶血性貧血の背景をもつ患者ではaplastic crisis(無形成造血障害発作)を続発し,免疫不全状態の患者ではウイルス排除ができず感染が持続し,赤血球細胞系の破壊が続き貧血となる.また,妊婦の罹患では胎児水腫,流産,死産が生じる.このような場合において感染が疑われるときにはウイルスDNAを検出する本検査は有用となる.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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陰性
- 陽性
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胎児水腫、 伝染性紅斑、 慢性溶血性貧血患者の無形成造血障害発作、 免疫不全患者の貧血
( 角田修次 )
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