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進行性筋ジストロフィー遺伝子検査

進行性筋ジストロフィー遺伝子検査

臨床的意義

  • 本検査は,患者の遺伝子異常の解析に適応となる.血縁者の遺伝子解析を行い,遺伝性か突然変異による孤発例かを判定する.保因者診断にも用いる.羊水や絨毛を使った出生前診断も実施可能である.
  • ここでは,筋ジストロフィーのうち,最も高頻度であり,遺伝子検査も頻繁に行われているDMD/BMDのジストロフィン遺伝子の解析を述べる.ジストロフィン遺伝子は,Xp21.2の約2.3Mbの領域で79個のエクソンからなる巨大な遺伝子である.DMD患者の60%は複数のエクソンの欠失,10%に部分重複,残り30%が微小変異やスプライシング異常である.症例の2/3はX染色体劣性遺伝形式をとるが,1/3の症例では突然変異で遺伝的背景を伴わない.BMDもジストロフィン遺伝子異常が原因であるが,BMDでは遺伝子異常が3の倍数であるため,frame shiftが起こらず,比較的障害が軽度となっている.
  • エクソン数が非常に多く,欠失が多彩であるため,複数の異常を一度のPCRで検索可能な,multiplex PCRが行われる.本法では,遺伝子欠失のhot spotであるエクソン3-19と43-52を中心とした9箇所のプライマーセットでPCRを行う.バンド数でジストロフィン遺伝子の欠失の有無が判定可能である.しかし,このhot spot以外のエクソン欠失は見逃される.
  • ジストロフィン遺伝子領域のサザンブロットハイブリダイゼーションも行われる.本法では,ジストロフィンのmRNAに対するcDNAをプローブとすることで,エクソン領域の欠失が検出可能となる.サザンブロットハイブリダイゼーションで検出できるのは,少なくとも数十塩基対以上の欠失あるいは増幅であるため,点突然変異を含む微小変異の検出には,塩基配列の決定が必要となる.
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( 福地邦彦 )
臨床検査項目辞典

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「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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