アルカリホスファターゼ染色
アルカリホスファターゼ染色
別名 | NAPスコア,好中球ALP染色,白血球ALP染色,ALP染色 |
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臨床的意義
- 好中球ALP(NAP)スコアは,成熟好中球の成熟度を示し,NAP活性を半定量的に表現している.未熟好中球(骨髄塗抹標本による)は骨髄球のうちからNAP陽性顆粒が出現し,細胞の成熟とともに陽性度が増加する.
- 好中球ALP活性の低下は,慢性骨髄性白血病,発作性夜間ヘモグロビン尿症のほか急性骨髄性白血病の約40%の症例,染色体が8;21転座を示す急性白血病FAB分類M2,顆粒球細胞の顆粒形成が異常で乏しい骨髄異形成症候群,二次性赤血球増加症,鉄欠乏性貧血などでも観察される.
- 活性が上昇する疾患には真性赤血球増加症,骨髄線維症,炎症などに伴う類白血病反応,再生不良性貧血などがある.慢性骨髄性白血病ではフィラデルフィア染色体陰性例や若年性のものでも好中球ALP活性は低下しており,病初期や再燃に際しても低下する.
- 急性転化のときは芽球の増加に先だって上昇するので,急性転化の予知に有用である.
- 以上により,本検査は下記の場合に有効である.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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NAP score:170~367
変動要因 - 高値
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化膿性細菌感染症、 急性リンパ性白血病、 原発性骨髄線維症、 再生不良性貧血、 真性赤血球増加症
- 低値
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ウイルス感染症、 急性骨髄性白血病の一部、 伝染性単核球症、 発作性夜間ヘモグロビン尿症、 慢性骨髄性白血病
慢性骨髄性白血病,急性骨髄性白血病の一部,発作性夜間ヘモグロビン尿症,伝染性単核球症,ウイルス感染症
- 次に必要な検査
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低値で慢性骨髄性白血病を疑う場合は,骨髄穿刺検査,骨髄の染色体分析,遺伝子検査を行う.
- 変動要因
- 検体採取から標本作製,保存などの時間や条件のチェックをし,活性低下の有無を調べる.
( 桑島 実 )
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