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ペルオキシダーゼ染色

ペルオキシダーゼ染色

別名 ペルオキシダーゼ反応,ミエロペルオキシダーゼ染色,MPO染色

臨床的意義

  • 本検査は,未治療骨髄塗抹標本による急性白血病の分類および先天性ミエロペルオキシダーゼ欠損症の診断のために用いられる.
  • 急性白血病のFAB分類では,未治療骨髄塗抹標本で芽球の3%以上がペルオキシダーゼまたはSBB(ズダンブラックB)染色陽性の場合を急性骨髄性白血病(AML)とし,3%未満の場合は急性リンパ性白血病(ALL)としている.3%としたのは正常の芽球の混入を考慮した値であり,白血病細胞の3%を意味しているのではない.
  • AMLとALLでは化学療法のプロトコールがまったく異なるため,ペルオキシダーゼ染色あるいはSBB染色は白血病および前白血病状態の患者の初期診断の際には必ず実施される.芽球のペルオキシダーゼ陽性率が報告されるが,標本を観察することにより詳細な情報を得ることができる.
  • FAB分類のM0は陰性,M1,M2,M3では多くの場合,芽球,前骨髄様細胞の85%以上が陽性.M4,M5の幼若単球様細胞は微細顆粒状弱陽性または陰性.M6では幼若骨髄系細胞は陽性だが赤芽球は陰性.M7の芽球は光顕では陰性.正常好中球は陽性であるが,骨髄異形成症候群急性白血病,感染に伴う好中球増多症の好中球は陰性のことがある.慢性骨髄性白血病の好中球は強陽性.まれではあるが,先天性ミエロペルオキシダーゼ欠損症では好中球,単球のペルオキシダーゼが陰性であるが,好酸球は陽性である.
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基準値・異常値

異常値を呈する場合

ペルオキシダーゼ陰性AML、  急性リンパ性白血病(ALL)、  急性骨髄性白血病(AML)、  巨核球性白血病(M7)、  慢性リンパ性白血病(CLL)

  • 骨髄の芽球の陽性率3%以上:急性骨髄性白血病(AML)
  • 骨髄の芽球の陽性率3%以下:急性リンパ性白血病(ALL),慢性リンパ性白血病(CLL),ペルオキシダーゼ陰性AML,巨核球性白血病(M7)

次に必要な検査
  • エステラーゼ染色:AMLのなかでFAB分類のM1(未分化型骨髄芽球性白血病)とM5a(未分化型単球性白血病)の鑑別.
  • 慢性骨髄性白血病の急性転化時の芽球細胞にTdT活性の高値を示す例がある.
  • 表面マーカーの検索,遺伝子解析.
  • 血小板ペルオキシダーゼ反応:M7(巨核球性白血病)の診断
変動要因
  • 検体採取から標本作製,保存などの時間や条件のチェックをし,活性低下の有無を調べる.
  • FAB分類M0を疑うときは電顕的ミエロペルオキシダーゼ反応を実施する.光顕的にペルオキシダーゼ陰性であっても電顕的には陽性のことがあり,ALLとAMLの確定的鑑別となることがある.
( 桑島 実 )
臨床検査項目辞典

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「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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