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第Ⅸ因子インヒビター

第Ⅸ因子インヒビター

別名 第Ⅸ因子循環抗凝血素(circulating anticoagulants to factor Ⅸ)

臨床的意義

  • 血友病B患者に対する第Ⅸ因子含有製剤の反復輸注後に,効果が減弱または消失し,凝固時間も改善を示さなくなることがある.これは第Ⅸ因子に対する同種抗体の出現である.このインヒビターの発生頻度は血友病A患者に比べ低く,血友病B患者の約3%に出現するとみられている.患者の止血管理を困難にするため,現在においても血友病治療の大きな問題の一つである.
  • 血友病B患者のインヒビター出現例の特有の症状としては,約50%の患者で第Ⅸ因子に対する過敏症やアレルギーを伴うことである.出血の既往歴のない患者に第Ⅸ因子に対する自己抗体である循環抗凝血素が発生することもあるが,第Ⅷ因子インヒビターと比較しても頻度はきわめてまれである.インヒビター出現後は,第Ⅸ因子を含まずバイパス活性を持つ遺伝子組み換え活性化第Ⅶ因子が用いられることが多い.
  • 血友病Bの患者で補充療法の効果が減弱した場合は,まず製剤投与後の第Ⅸ因子の活性を検査し,回収率が低下している場合や半減期が短縮している場合は第Ⅸ因子インヒビターの存在が疑われるため,インヒビターを測定する必要がある.
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基準値・異常値

基準範囲
検出せず(0.5BU未満)
変動要因
異常値を呈する場合

第Ⅸ因子に対する循環抗凝血素の産生、  補充療法を受けた血友病B患者の一部

補充療法を受けた血友病B患者の一部,第Ⅸ因子に対する循環抗凝血素の産生

変動要因
  • 採取法(採血困難や採取後の検体の保管)のチェックが必要である.
  • ループスアンチコアグラント(抗リン脂質抗体)によっても凝固時間が阻害され検査値に影響を与えるので注意が必要である
( 和田英夫,松本剛史 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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