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プレカリクレイン

プレカリクレイン

略称 PK
別名 フレッチャー(Fletcher)因子,プロカリクレイン

臨床的意義

  • 出血傾向がほとんど存在しない高度のAPTT延長患者に遭遇したときに,本検査を行ってみる.
  • APTTの延長は,APTT試薬中の活性化物質の違い,凝固時間測定までの接触時間の影響を受ける.
  • 先天性欠乏症は常染色体劣性遺伝形式をとるが,非常にまれな疾患である.ホモ接合体においては,PK活性は1%以下を示す.ヘテロ接合体では50%前後の活性値となる.
  • 欠損症と分子異常症の報告がある.ただし日常生活や外科的処置の際も出血症状を呈さない.APTT延長として偶然発見されることがほとんどである.
  • 逆に線溶系の働きの低下による血栓症の報告があるが,正常者との有意差は証明されていない.
  • 肝実質細胞で合成されているが,ビタミンK依存性蛋白質ではないので,抗ビタミンK製剤の影響は受けない.
  • 測定方法としては,APTT延長がPK因子を含む検体の添加により,補正されることを利用している.補正の程度は添加されるPK因子量に比例する.
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基準値・異常値

基準範囲
65~130%
変動要因
低値

ショック、  遺伝性血管神経浮腫、  肝硬変、  高分子キニノゲン欠乏症、  消化器癌、  先天性欠乏症、  播種性血管内凝固症候群(DIC)、  慢性腎不全

低値

先天性欠乏症,肝硬変播種性血管内凝固症候群(DIC),ショック,遺伝性血管神経浮腫,慢性腎不全,消化器癌,高分子キニノゲン欠乏症など

次に必要な検査
HMW-K,第ⅩⅡ因子は同時に調べておく.PK欠乏を確認する方法として,患者血漿をカオリン,ガラス,セライトなどの異物面と長時間接触させると,APTTが正常化する.
変動要因
  • エラジン酸を用いたAPTT測定では,軽度の延長もしくは正常となるため,プレカリクレイン欠乏を見逃すことがある.
  • 先天性高分子キニノゲン欠乏症において,複合体を形成しているプレカリクレイン因子の欠乏も起こってしまう.
  • 内因子・共通系凝固因子,von Willebrand因子,ループスアンチコアグラントの確認,またヘパリンの影響がないかチェックする.逆に妊娠中はやや増加するので,考慮が必要である.
( 腰原公人 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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