CK-MMアイソフォーム
CK-MMアイソフォーム
臨床的意義
- 筋肉損傷の時期を推定する場合に検査する.CKが多量に存在する臓器・組織の損傷が起きた時期を推定することができる.MMaとMMcの比率を測定して,MMaの比率が大きければ,血中に逸脱して早期のMMであり,MMcの比率が大きければ,血中に逸脱して時間が経過したMMであると推測することができる.
- 急性心筋梗塞が疑われる場合に検査する.急性心筋梗塞の初期には心筋から逸脱したばかりのMMaが血中に増加するため,MMa/MMc比は増大する.血中に逸脱したMMaは酵素により修飾されてMMb,さらにはMMcと変化する.この変化は発症後数時間ときわめて短時間で起こるため,MMa/MMc比が大きい場合には発症後極早期の心筋梗塞と診断できる.心筋梗塞の極早期診断にはミオグロビンと同等な有用性がある.
- 骨格筋疾患での筋肉損傷の時期を推定する場合に検査する.筋ジストロフィー症や皮膚筋炎などで,たとえ総CK活性が低値でもMMa/MMc比が大きい場合は,持続的にCKが逸脱していることから筋肉の損傷が持続していることを意味している.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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MMa/MMc比:0.08~0.45
変動要因 - 高値
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急性心筋梗塞(発症後早期にMMaが上昇するためMMa/MMc比が上昇する),進行性筋ジストロフィー症(筋肉が持続的に障害されている時期にはMMaが優位となる),皮膚筋炎
次に必要な検査
急性心筋梗塞での極早期診断指標(発症後数時間)としてはほかにミオグロビン,心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)があり,同時にミオグロビン,H-FABPを測定する.総CK活性,CK-MB測定も次に行う検査である.また,当然心電図は必要であり,心エコーや冠動脈造影なども行う.
- 低値
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長期臥床
≦0.1:長期臥床(組織からのCKの逸脱がない状態)
- 変動要因
- 検体を長時間室温で保存すると血清中の酵素により修飾されてCK-MMアイソフォームの変換が起こる.このため,検体の保存状態を検索する.
- 筋肉運動直後では骨格筋から逸脱したMMaが上昇するため高値となる.このため,筋肉運動の有無を確認する.
( 高木 康 )
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