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マクロアミラーゼ

マクロアミラーゼ

別名 アミラーゼ結合性免疫グロブリン,アミラーゼアイソザイムアノマリー

臨床的意義

  • 患者群を対象としたマクロアミラーゼの集計結果からは,血清総アミラーゼ活性は90%以上が正常上限値以上を示し,年齢は50歳代以上,男性に多く,結合免疫グロブリンではIgA型が80%以上みられた.疾患関連性はなく自己免疫性疾患を含む多彩な疾患で検出されている.一方,アミラーゼ活性値以外に異常所見の認められない健常者においても検出されている.いずれの場合においても,ほとんどが「持続性の原因不明の高アミラーゼ血症」を呈する.過剰検査・誤診の回避のためにも,早期のマクロアミラーゼ血症の診断は臨床的に重要となる.
  • 母親にマクロアミラーゼが検出される場合,経胎盤的にアミラーゼ結合活性を有する遊離のIgGが移行し,児にマクロアミラーゼ血症が出現することもありうる.この場合は経過観察すると6ヵ月以降,マクロアミラーゼは消失傾向となる.
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基準値・異常値

基準範囲
陰性
変動要因
陽性

患者血液中にマクロアミラーゼの存在を示唆する所見は,第1に血清総アミラーゼ活性が臨床経過と矛盾して高値となること,第2にアイソザイム電気泳動で分画不能な特有の異常パターン(スメア像,テーリング像)を呈することである.

次に必要な検査

日常検査では,電気泳動によってはじめてマクロアミラーゼの存在が認識される.その後,ゲル濾過法によって高分子アミラーゼであることを確認し,免疫固定法,免疫向流法および免疫混合法(この順で高感度となる)により結合免疫グロブリンを同定する.マクロアミラーゼの確認は,電気泳動の異常パターンと高分子であることの両所見が基本となる.
変動要因
  • ゲル濾過で高分子アミラーゼが確認されても,電気泳動でわずかなテーリング所見しかみられない事例がある.この場合は,電気泳動中に複合体が解離したものと推定される.これらの例においても通常,結合免疫グロブリンが同定される.ただし結合免疫グロブリン同定に際しては,検出感度を考慮した方法の選択が必須である.
  • 血中にマクロアミラーゼが存在する場合,膵型アミラーゼ活性測定で試薬中の失活性抗体の反応不足から,見かけ上,異常高値となる場合があるので注意が必要となる.
( 森山隆則 )
臨床検査項目辞典

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「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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