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尿素窒素(尿)

尿素窒素(尿)

別名 UN(尿)

臨床的意義

  • 24時間尿中に排泄された尿素窒素量を知ることにより,肝,腎の大まかな異常がわかる.また,窒素バランスの状況(蛋白異化亢進か,合成亢進か)を知ることができ,腎不全,ネフローゼ症候群の食事蛋白投与量の推測が行える.ただし,他の検体検査,画像診断が進歩した現在,検査の頻度は減少している.
  • 肝臓における蛋白中間代謝機能および腎機能により増減する.すなわち,蛋白質の消化,組織蛋白の異化亢進,腸管出血などによる血中アンモニアの増加で,肝での尿素合成が進み,血中尿素窒素(BUN)が上昇し,これに比例して尿中UNが増加する.一方,減少する場合は,肝不全による尿素回路の障害と,腎不全や尿路閉塞による尿素排泄障害がある.
  • 窒素バランスの把握に用いられ,臨床的には慢性腎不全保存期における蛋白質制限食が適切か否かを判定する上できわめて重要である.蛋白異化の増加は(-)の窒素バランスで,蛋白合成亢進傾向のときは(+)と出る.
    窒素バランス(g/day)=摂取蛋白量(g/day)÷6.25-尿中UN(g/day)-NUN
    NUN(non-urea N):UNに由来しない窒素(クレアチニン尿酸,アミノ酸,蛋白,糞便)で,通常は2.5g/dayないし0.031g/kg体重/dayである.
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基準値・異常値

基準範囲
7~14g/day
変動要因
高値

悪性腫瘍、  飢餓、  筋崩壊、  高蛋白食摂取後、  腸管出血、  熱性疾患、  貧血

熱性疾患,飢餓,悪性腫瘍,貧血,腸管出血,筋崩壊,高蛋白食摂取後,薬剤服用時(サリチル酸,キニーネ,カフェインなど)

低値

重症肝障害、  慢性腎不全

重症肝障害(劇症肝炎,中毒性肝障害など),慢性腎不全

変動要因
  • 尿素は尿中細菌の働きで容易に変化してアンモニアとなり,一部は揮発する.また尿中にも少量のアンモニア(内因性アンモニア)が存在する.
  • 尿中UNを高精度に測る方法として,アンモニアを測り込まない方式(ウレアーゼ・GLDH・アンモニア消去法)が一般化している.一般にはトルオール,キシロール2~3mlを防腐剤として蓄尿ビンに添加し,これに採る方法が勧められる.
( 伊藤機一 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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