プライマリケア Primary Care

sysmex

検査項目スピード検索

フェニルアラニン

フェニルアラニン

略称 Phe

臨床的意義

  • 新生児における先天性アミノ酸代謝異常症のマススクリーニングや肝障害の重症度の判定などに有用である.
  • フェニルケトン尿症はフェニルアラニンをチロシンに変えるフェニルアラニン水酸化酵素が先天的に欠損し,フェニルアラニンの蓄積を特徴とする疾患である.血中にフェニルアラニンが増加し,尿中にフェニルアラニンおよびその代謝産物であるフェニルピルビン酸が多量に排泄される.血中フェニルアラニンが20mg/dlを超える状態が持続すると精神運動発達の遅れが出現する.
  • フェニルケトン尿症の患者においてもフェニルアラニンは必須アミノ酸であり,欠乏すると発育障害などをきたすため必要最小限を与えるようにしなければならず,血中フェニルアラニン値を5~6mg/dl程度に維持する.
  • 肝はアミノ酸代謝における主要臓器の一つで,非代償性肝硬変や劇症肝炎などの肝不全では,芳香族アミノ酸であるフェニルアラニンやチロシンの上昇が顕著である.
  • 糖尿病では主に過栄養を反映してフェニルアラニンをはじめチロシン,イソロイシン,ロイシン,バリンなどの血漿アミノ酸濃度が上昇する.
詳細を見る

基準値・異常値

基準範囲
43~76nmol/ml
変動要因
高値

肝硬変、  劇症肝炎、  先天性アミノ酸代謝異常症、  糖尿病

先天性アミノ酸代謝異常症(フェニルケトン尿症,高フェニルアラニン血症,異型高フェニルアラニン血症),肝硬変,劇症肝炎,糖尿病

次に必要な検査

フェニルケトン尿症とビオプテリン代謝障害の鑑別は,ビオプテリン負荷試験および尿中ビオプテリン代謝産物の測定で行う.肝障害の程度は,Fischer比,BTR,ICGR15などで評価する.
変動要因
血清を用いた場合は,赤血球からアミノ酸が遊離して高値を呈することがある.また,高蛋白食の摂取により血中濃度が上昇する.
( 〆谷直人 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

お問い合わせ サイトマップ
個人情報の取り扱いについて ご利用に際して
会社概要
PAGE TOP