プライマリケア Primary Care

sysmex

検査項目スピード検索

メチルマロン酸

メチルマロン酸

略称 MMA
別名 methylmalonate

臨床的意義

  • 生後間もなく痙攣意識障害を起こしたとき,ならびに新生児~乳児期の先天性代謝異常のスクリーニング検査で陽性の場合には,メチルマロン酸血(尿)症などのアミノ酸代謝異常症を疑う.
  • メチルマロン酸尿症ではメチルマロニル経路とよばれる代謝経路のなかのメチルマロニルCoAがスクシニルCoAとなるとき,メチルマロニルCoAムターゼと,V.B12の代謝産物である5´-アデノシルコバラミンが補酵素として必要である.V.B12が摂取不足,あるいは吸収障害や胃内因子の欠損などにより欠乏すると反応が停止して細胞内にメチルマロン酸が産生され,尿中に排泄される.また,アミノ酸の代謝によって作られるプロピオニルCoAは,酵素の働きによってメチルマロニルCoAに変わる.その際,ビオチンとコバラミンも補因子となる.
  • メチルマロン酸の前駆物質であるバリンを負荷すると,健常者や葉酸欠乏症などでは変化はみられないが,V.B12欠乏症ではメチルマロン酸の著明な排泄増加がみられることにより,V.B12欠乏症の診断に用いられる.
詳細を見る

基準値・異常値

基準範囲
0.9~2.7mg/g・Cr
高値

ブラインドループ症候群、  メチルマロン酸血(尿)症、  悪性貧血、  胃全摘後、  寄生虫症(広節裂頭条虫)、  吸収不良症候群

  • ビタミンB12(V.B12)欠乏症:悪性貧血,胃全摘後,吸収不良症候群,ブラインドループ症候群,寄生虫症(広節裂頭条虫),胃内因子の機能不全や分子異常
  • 先天性代謝異常症:メチルマロン酸血(尿)症

次に必要な検査

  • V.B12欠乏を疑うときには,シリングテスト(60Co-V.B12を投与後,吸収排泄状況を検査する)で確認する.なお,トランスコバラミンの欠乏でもV.B12欠乏と同様の結果となる.
  • V.B12が正常でメチルマロン酸尿症を疑うときは,V.B12の試験的連続投与を行い,メチルマロン酸の反応を観察する.また,血清電解質,血清ケトン,血清アンモニアの測定を行うと,メチルマロン酸血症ではアシドーシス,ケトーシス,血清アンモニア値増加が認められる.なお,先天性欠損症の場合には,酵素反応における立証が困難であるため,主として除外診断によっている.
( 〆谷直人 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

お問い合わせ サイトマップ
個人情報の取り扱いについて ご利用に際して
会社概要
PAGE TOP