肝性トリグリセリドリパーゼ
肝性トリグリセリドリパーゼ
略称 | HTGL |
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臨床的意義
- HTGLは肝で合成される酵素であるため,肝硬変などの実質障害のときに低下し,肝疾患におけるリポ蛋白異常(肝硬変におけるHDL2の増加など)の原因とされている.
- HTGLが特に過栄養性脂肪肝において上昇していることは,他の肝疾患との鑑別に役立つ.
- β-VLDLやHDL2の増加,あるいはIDLやレムナントの蓄積が疑われるときは,低値である可能性が高い.
- HTGL遺伝子は15染色体短腕に位置し,9つのエクソンよりなるが,プロモーター領域の多型がHTGL活性に影響を与えているという報告がある.
- HTGL遺伝子がHDL代謝に関与していることから,コレステロール逆転送に関連している他の酵素,すなわちLCATやCETPを測定することが望ましい.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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550~2,250ng/ml(へパリン30単位/kg体重の静注10分後)
変動要因 - 高値
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過栄養性脂肪肝、 肥満
肥満,過栄養性脂肪肝
次に必要な検査
- 低値
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HTGL欠損症、 エストロゲン投与、 肝硬変、 急性肝炎、 甲状腺機能低下症、 尿毒症
次に必要な検査
HTGL,肝機能,甲状腺ホルモン,BUN,クレアチニンなど
- 変動要因
- 血清TGが高いのにHTGLが正常な場合はLPLが低下していることが多い.いずれにしても,この両者はできればセットで測定すべきである.
( 清島 満 )
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