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コレステリルエステル転送蛋白

コレステリルエステル転送蛋白

略称 CETP

臨床的意義

  • 本検査は次の場合に必要となる.
    1. HDLコレステロールが130mg/dl以上に増加してCETPの低下または欠損が疑われるとき.
    2. 家族性HDLコレステロール血症が疑われるとき.
  • CETPが欠損したりその活性が低下したりすると,エステル化したコレステロールはVLDLやLDLに転送されることなくHDL粒子に停滞して,HDLは大粒子化し,HDLコレステロールは著明な高値となる.一方でLDLは小粒子化する.
  • 末梢組織の遊離コレステロールはLCAT(lecithin-cholesterol acyltransferase)によりエステル化されてコレステリルエステル(CE)になりHDLに取り込まれて運搬される.このCEは,①HDLとともに肝臓にレセプターを介して取り込まれる経路,②肝臓表面でCEのみが吸収される径路,③CETPにより他のリポ蛋白に転送されて肝臓に取り込まれる径路,の3つの径路により処理されると考えられている.CETPの蛋白量を知ることは,この第3の径路を介する活性を知ることに他ならない.
  • 高脂血症ではCETPの増加がみられる.Ⅱ型高脂血症で約25%,Ⅲ型で68%,高カイロミクロン血症で約85%の増加がみられる.はたしてCETPが動脈硬化の進展にどのように関わるかは不明な部分が多い.
  • CETPの完全欠損は遺伝子異常が原因である.これまでに世界中で10種類以上の遺伝子異常が報告されているが,そのうち日本人には,イントロン14のスプライスドナー部位の点変異(1452G-A)とエクソン15のミスセンス変異(D442G)の2つの変異が多いことが示されている.
  • 遺伝子異常以外にCETPが低下する理由にアルコール摂取があり,飲酒者でみられるHDL高値はCETP活性が低下するためと考えられている.
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基準値・異常値

基準範囲
  • 男性1.1~3.0μg/ml
  • 女性1.3~3.3μg/ml
低値

家族性高HDLコレステロール血症

低値

数値:0
家族性高HDLコレステロール血症

次に必要な検査

CETP活性検査およびCETP遺伝子解析(1452G-A,D442G)
( 久保信彦 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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