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動脈硬化

別名 arteriosclerosis

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 動脈硬化は病理学的にアテローム性動脈硬化(粥状動脈硬化),細動脈硬化,Monckeberg型中膜石灰化硬化の3つに分類されているが,本項では主に臨床的に重要なアテローム性動脈硬化について述べる.
  2. 動脈硬化症は,わが国の死因の上位を占める心血管疾患と脳血管疾患の基礎疾患であるが,それ自体は症状のない silent disease である.
  3. 動脈硬化の危険因子は脂質異常症,高血圧,喫煙,糖尿病,肥満,高尿酸血症,CKD などがある.また避けられない因子として加齢がある.
  4. 無症状の段階で動脈硬化の程度や危険因子の有無を診断し,必要に応じて生活指導や治療を行うことで動脈硬化性疾患を包括的に管理することが大切である.
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診断・検査

 動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは,動脈硬化性疾患予防のための包括的リスク管理チャートを示している.スクリーニング検査項目として「日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」 に示す.
  1. ①問診
     危険因子の把握が重要である(表3).食習慣(総摂取エネルギー量,脂質の摂取量,食物繊維の摂取量,食塩の摂取量など)や,飲酒量なども確認する.また,動脈硬化性疾患の既往歴や家族歴の聴取も行う.動脈硬化性疾患の症状としては,各疾患の項目を参照.
  2. ②血圧,脈圧
     高血圧治療ガイドラインに基づき評価する.上腕は左右とも測定し,差がないか確認する.可能なら下肢血圧も測定.ABI の測定
  3. ③身体診察
     動脈拍動の触知の有無,左右差の確認は重症である.血管雑音聴取の有無も確認する.身長,体重の他にメタボリックシンドロームの診断基準の1 つでもあるウエスト周囲径も測定する.
     また,脂質異常症,特に家族性高コレステロール血症などの遺伝的背景のあるものでは,皮膚黄色腫,腱黄色腫(手背,肘,膝などの腱黄色腫,アキレス腱肥厚)などがある.
  4. ④眼底所見
     Keith-Wagener 分類やScheie 分類を用いて評価する(表4).その変化の程度と脳動脈の硬化度との間には相関関係があるといわれている.
  5. ⑤血液・尿検査
    1. ① 脂質異常症:T-Chol,TG,HDL-C,LDL-C(TG≧400 の場合はnon-HDL-C)
    2. ② 糖尿病:血糖,HbA1c,インスリン抵抗性検査
    3. ③ CKD:BUN,Cre,eGFR,尿一般
    4. ④ その他基本的検査,二次性脂質異常症の鑑別のための検査:血算,尿酸値,肝機能,CPK,TSH,FT4
  6. ⑥機能診断
    1. ① 血管内皮機能検査(FMD,プレチスモグラフィなど):現在は超音波装置でずり応力による血管内皮細胞からの一酸化窒素(NO)産生に伴う血管径変化を測定するflow-mediated dilatation(FMD)が普及している.
    2. ② 動脈弾性能検査(PWV,CAVI):以前から脈波伝搬速度(pulse wave velocity:PWV)が用いられていたが,測定時の血圧に依存するため,近年は血圧に依存しないものとして心臓足首血管弾性指標(cardio-ankle vascular index:CAVI)が用いられるようになっている.
  7. ⑦画像診断
    1. ① 頸動脈エコー:血管の蛇行,プラーク形成の有無や性状,血流速,頸動脈内膜中膜複合体肥厚度(intima-media thickness:IMT)の測定.
    2. ② Xp:大動脈の蛇行,拡張,石灰化.また,X 線軟線撮影でアキレス腱肥厚の有無.
    3. ③ CT:multidetector-rowCT(MDCT)などによる動脈の蛇行,壁石灰化,血栓,瘤形成などの検出.石灰化が強いとアーチファクトのため血管内腔の評価は困難.
    4. ④ MRI・MRA:血管内腔狭窄や動脈瘤の有無をみるのに有用.石灰化は無信号として描出されるため,石灰化の強い血管でも血管内腔が確認できる.
    5. ⑤ 血管内超音波,血管内視鏡など

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表3 動脈硬化症の危険因子
表はPC版サイトをご覧ください
表4 網膜血管硬化症,高血圧眼底の分類
表はPC版サイトをご覧ください
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