クロール(尿)
クロール(尿)
別名 | Cl(尿),塩化物(尿) |
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臨床的意義
- 健常成人に対しては食塩摂取量を大まかに知るために測定される.過剰摂取の場合,尿Clは増加し,過剰制限の場合,尿Clは減少する(尿Naの変化と並行する).
- また,代謝性アルカローシスの鑑別に重要で,Cl反応性代謝性アルカローシス(細胞外液量が減少,生食の投与で改善;尿Cl 15mEq/l以下),Cl抵抗性代謝性アルカローシス(細胞外液量の減少なし,生食の投与で改善せず;尿Cl 15mEq/l以上)である.
- 他の検体検査,画像診断が進歩した現在,この検査が使用される頻度は減少している.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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170~250mEq/day,6~12g/day
変動要因 - 高値
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食塩の過剰投与(まれ)
食塩の過剰投与(まれ)
- 低値
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Cl反応性代謝性アルカローシス、 消化液の喪失
消化液の喪失(嘔吐,胃液の頻回な吸引),Cl反応性代謝性アルカローシス(尿Clが15mEq/l以下に低下,食塩投与で改善)
- 次に必要な検査
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代謝性アルカローシスの原因検索のため,血液ガス分析,呼吸機能の検査が必要である.
- 変動要因
- 異常高値のときは食塩の過剰投与を,異常低値のときは食塩の過剰制限をまず疑うが,その出現頻度は高くない.ClがNaとともに異常低値を示すときは,蓄尿時に水を混入させるなど検体として希釈尿が提出された可能性がある.
( 伊藤機一 )
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