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間接ビリルビン

間接ビリルビン

略称 I-Bil
別名 非抱合型ビリルビン

臨床的意義

  • 黄疸を認めるときに,総ビリルビン直接ビリルビンとともに測定する.また,無症状でも一般健診のなかで高値を指摘され,体質性黄疸(Gilbert症候群)の診断のきっかけになることも多い.
  • 高間接ビリルビン血症(直接ビリルビン≦20%)では,非抱合型ビリルビンの生成から肝細胞内における抱合までの過程に原因が存在する.特に生成過剰および肝での抱合異常があげられる.生成過剰をきたす疾患としては,溶血性疾患,シャント高ビリルビン血症がある.シャントビリルビンの生成源としては骨髄の無効造血によるものと代謝回転の早い肝内ヘムによるものとがあるが,ほとんどの場合は無効造血の亢進に由来する.
  • Crigler-Najjar症候群では,bilirubin UDP-glucuronosyltransferase(UGT1A1)活性が欠損もしくは低下しているため,ビリルビンの抱合障害が起こる.Crigler-Najjar症候群Ⅰ型ではUGT1A1は欠損し,Ⅱ型では正常の10%以下に低下している.また,Gilbert症候群では同酵素活性は正常の25~30%程度に低下している.Crigler-Najjar症候群Ⅰ型,Ⅱ型,Gilbert症候群では,それぞれ多くのUGT1A1遺伝子の変異が報告されている.
  • 非代償性肝硬変症,劇症肝炎予後不良例などでは直接ビリルビン増加とともに間接ビリルビンの増加もみられる.
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基準値・異常値

基準範囲
0.1~0.8mg/dl
変動要因
高値

Crigler-Najjar症候群、  Lucy-Driscoll症候群(新生児)、  シャント高ビリルビン血症、  肝炎後高ビリルビン血症、  心不全、  新生児黄疸、  体質性黄疸、  溶血性貧血

溶血性貧血,新生児黄疸,体質性黄疸〔Gilbert症候群:≦6mg/dl,Crigler-Najjar症候群Ⅱ型:>6mg/dl,Ⅰ型(新生児~乳児):>20mg/dl,ビリルビン値には重なりあり〕,シャント高ビリルビン血症,肝炎後高ビリルビン血症,Lucy-Driscoll症候群(新生児),心不全

次に必要な検査

  • 主として溶血性貧血と体質性黄疸を鑑別する.前者では血清ビリルビン値は通常6mg/dl以下で,赤血球寿命の短縮,網状赤血球増加,ハプトグロビン低値などを診断の参考にする.シャント高ビリルビン血症は,溶血性貧血に類似した所見を示すが,赤血球寿命は正常であり,標識動態検査において利用障害を呈する.
  • ビリルビン以外の一般肝機能検査が正常であれば体質性黄疸を考え,UGT1A1遺伝子の解析を行う.UGT1A1遺伝子に変異がなく,生検肝組織にて肝炎後の変化を認め,UGT1A1活性が正常なら肝炎後高ビリルビン血症と診断する.
変動要因
  • ビリルビンは可視光を含めた光にて容易に分解,または直接ビリルビンの反応をする光学異性体に変化するので注意する.
  • 採血時の溶血の有無にも注意する.
( 小林由直 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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