サリチル酸
サリチル酸
別名 | アスピリン(aspirin),アセチルサリチル酸 |
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臨床的意義
- 抗炎症効果は血中濃度に依存し,高濃度では重篤な副作用が高頻度で出現する.そのため,患者の服薬状況を確認するため,さらにサリチル酸の薬効・副作用を客観的に評価するため血中濃度の測定を行う.
- サリチル酸高濃度領域での薬物体内動態は変動が大きく,抗炎症・抗リウマチ作用を期待して投与を行う場合には,血中濃度を指標とした投与量および投与方法の管理が必須である.
- 中毒症状としては,中枢性過呼吸,呼吸性アルカローシス,代謝性アシドーシス,発熱や昏睡,ショックをきたす.
- まれに白血球減少,再生不良性貧血,出血傾向や食欲不振,胸やけ,胃痛,耳鳴,めまいなどが発現する.
- 長期投与時に肝障害,腎障害,血液異常など.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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有効治療濃度
対象疾患によって有効血中濃度域は異なる
- 抗血栓(アスピリン):1~2μg/ml
- 解熱・鎮痛(サリチル酸):25~50μg/ml
- 抗炎症(サリチル酸):150~300μg/ml
- 小児急性抗リウマチ熱では300~400μg/ml(サリチル酸)と成人中毒域濃度(300μg/ml以上)が必要とされる
- 適応症
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関節リウマチ、 急性上気道炎の解熱・鎮痛、 狭心症、 心筋梗塞、 川崎病、 頭痛・腰痛・月経痛・歯科領域の疼痛などの鎮痛、 変形性関節症
- 変動要因
- 中毒が疑われる場合には,輸液・電解質補給,pH補給(アルカリ化),体表冷却などの措置を行う.
( 橋本征也 )
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