ジゴキシン
ジゴキシン
臨床的意義
- ジギトキシンに比べ作用発現は早いが,腎排泄のため腎機能障害例ではジギタリス中毒をきたしやすいので,腎機能の程度に応じた投与が必要である.アルブミン結合は25%であるが,他の組織蛋白,ことに心筋への結合が高い.有効治療濃度が約0.8~2.0ng/mlと狭く,その吸収・排泄や心筋感受性は個人差も大きいので患者の至適投与量の決定に血中濃度の測定は重要である.
- 心疾患患者であって同剤を投与しているもので,血中濃度を測定し,その結果に基づき当該薬剤の投与量を精密に管理した場合に,特定薬剤治療管理料を月1回に限り算定できる.なお,急速飽和を行った場合は,1回に限り急速飽和完了日に加算が算定できる.
- 一般的な血中薬物濃度測定の目的と意義は【→】「ジギトキシン」.
- 中毒症状は2.6ng/ml以上では全例に出るといわれている.
- 消化器系:食欲不振,悪心,嘔吐など.
- 循環器系:高度の徐脈,二段脈,多源性心室性期外収縮.
- 眼:視覚異常(黄視など).
- 精神神経系:めまい,頭痛,失見当識,錯乱など.
- その他:発疹,蕁麻疹,まれに女性化乳房など.
うっ血性心不全(先天性疾患,弁膜疾患,高血圧症,虚血性心疾患),肺性心,甲状腺機能亢進症・低下症,心房粗・細動による頻脈,発作性上室性頻拍など
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基準値・異常値
- 基準範囲
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有効治療濃度 0.8~2.0ng/ml
- 適応症
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うっ血性心不全、 虚血性心疾患、 甲状腺機能亢進症・低下症、 高血圧症、 心房粗・細動による頻脈、 肺性心、 発作性上室性頻拍、 弁膜疾患
- 次に必要な検査
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今後の検査の進め方
( 北村正樹,横田邦信,景山 茂 )
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