アミオダロン
アミオダロン
別名 | 塩酸アミオダロン |
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臨床的意義
- アミオダロンについては,血中濃度の上昇が緩慢であり,投薬に際して患者ごとの血中濃度モニタリングが必要になる.さらに,血中濃度の定常状態への到達の有無の確認や服薬コンプライアンスの判断の推定において,血中濃度測定は有用である.
- アミオダロンの血中濃度と副作用などの安全性との関係については,一定の見解が得られていない.アミオダロン血中濃度については,1.0μg/ml以下では再発し,2.5μg/ml以上では副作用が発現しやすいとの報告がある.定常状態への到達の有無を確認しながら,用量調節を行う必要がある.
- アミオダロンを服用している患者の約45%において,副作用が出現する.主な副作用は,肺機能障害,角膜色素沈着,甲状腺機能障害および甲状腺刺激ホルモンの上昇である.
- 重大な副作用には,間質性肺炎,肺線維症,肺胞炎,既存の不整脈の悪化,torsades de pointes,心不全,徐脈,心停止,完全房室ブロック,血圧低下,劇症肝炎,肝硬変,肝障害,甲状腺機能亢進症,甲状腺炎,甲状腺機能低下症および抗利尿ホルモン不適合分泌症候群がある.
- 肺線維症の早期発見には,DLcoやKL-6の測定が有効である.
- 高齢者では呼吸機能,肝機能および腎機能が低下していることが多く,また体重も少ない傾向にあるなど,副作用が発現しやすい.
生命に危険のある心室細動,心室性頻拍および肥大型心筋症に伴う心房細動の再発性不整脈(他の抗不整脈薬が無効か,または使用できない場合).
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基準値・異常値
- 基準範囲
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有効血中濃度
- アミオダロンの血中濃度と有効性の関係については,相関性に乏しく,有効血中濃度は明確になっていない.目安として,アミオダロンの有効患者における定常状態の血中濃度は,0.6~2.8μg/mlである.また,活性代謝物であるN-デスエチル体の血中濃度は,アミオダロンの血中濃度の約80%である.
- 適応症
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再発性不整脈、 生命に危険のある心室細動
- 変動要因
- 対象患者のアミオダロンの用量や併用薬との薬物間相互作用を確認する.それらに問題がなければ,対象患者の服薬コンプライアンスを確認し,用量調節を行う.
( 内藤隆文,川上純一 )
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