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バンコマイシン

バンコマイシン

略称 VCM
別名 塩酸バンコマイシン

臨床的意義

  • バンコマイシンの点滴静注による治療を新たに開始したとき,腎機能に変化がみられたとき,投与が長期化するときに血中濃度モニタリングを実施する.経口投与の場合,消化管からの吸収はほとんどないとされている.偽膜性大腸炎などで経口投与された場合,病変部から吸収され血中から検出されることもあるが,血中濃度モニタリングは不要である.
  • 感染症,検出菌,検出部位,臨床所見を考慮し,安全かつ有効な投与法(投与量,投与間隔,点滴速度)を患者ごとに設定するため,バンコマイシンの点滴静注による治療時には適切な血中濃度モニタリングを実施することが望ましい.バンコマイシンの血中濃度と母集団パラメータを基に解析して得られた投与設定を参考にして,患者ごとの最適な投与法で治療することが重要である.
  • 腎機能の変化によって血中濃度推移も変化するため,細菌検査を含めた感染症の経過を把握するための検査とともに,腎機能に関する検査を実施する.腎機能が変化した場合には,再度,血中濃度モニタリングを実施して投与法を再設定する.
副作用
  • 重大な副作用として,ショック,アナフィラキシー様症状,急性腎不全,間質性腎炎,汎血球減少,無顆粒球症,血小板減少,皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),剥脱性皮膚炎,第8脳神経障害(眩暈,耳鳴,耳閉感,難聴),偽膜性大腸炎,肝機能障害,黄疸などが知られている.
適応症
メチシリン,セフェム耐性の黄色ブドウ球菌のうちバンコマイシン感受性菌による感染症
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基準値・異常値

基準範囲
有効血中濃度
  • 最低血中濃度10~15μg/ml
  • 点滴終了1~2時間後血中濃度25~40μg/mlを目安とする
変動要因
適応症

セフェム耐性の黄色ブドウ球菌のうちバンコマイシン感受性菌による感染症、  メチシリン

変動要因
検査そのもの,腎機能の評価,投与法,採血方法などに問題がないか確認し,問題がなければ投与法を調整する.調整後,再検査を実施する.
( 村松英彰,川上純一 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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