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21-デオキシコルチゾール

21-デオキシコルチゾール

別名 21-DOF

臨床的意義

  • 21-デオキシコルチゾールの測定意義は,先天性副腎皮質過形成の中で最も頻度の高い21-水酸化酵素欠損症の診断にある.同疾患ではステロイド生合成経路のうちプロゲステロン→デオキシコルチコステロンの反応と17-ヒドロキシプロゲステロン11-デオキシコルチゾールの反応が起こらず,血中17-ヒドロキシプロゲステロンおよび21-デオキシコルチゾールが高値となる.
  • 1989年以降,厚生労働省母子衛生事業として血中17-ヒドロキシプロゲステロン高値を陽性とする21-水酸化酵素欠損症の新生児マススクリーニングが導入された.その際には17-ヒドロキシプロゲステロンを測定するのが一般的であるが,血中21-デオキシコルチゾールの高値は同疾患の参考所見であり,測定することでより検出感度が高くなる.これらのステロイドの高値は糖質コルチコイドの補充で正常化するので,治療の指標となる.
  • 21-水酸化酵素欠損症には塩類喪失型,単純男性化型,遅発型があり,前二者は新生児マススクリーニングにてほぼ発見されて治療が開始されるのに対し,遅発型では小児期に発見されず,思春期以降に性腺機能異常を呈する例も少なくない.原因不明の性腺機能異常(不妊,無月経)を認めた場合には21-水酸化酵素欠損症も考慮する必要があり,診断のために血中17-ヒドロキシプロゲステロン,血中21-デオキシコルチゾール,尿中プレグナントリオール,尿中プレグナントリオロン,血中アンドロステンジオン,血漿ACTHデヒドロエピアンドロステロンサルフェートを測定する.またCTにて両側副腎の腫大を認める.また21-水酸化酵素欠損症の90%以上の症例でP450c21をコードしているCYP21B遺伝子の異常を認めるので,遺伝子検索も考慮する.
  • 21-水酸化酵素欠損症の無症候性キャリアの診断の際に,ACTH負荷後の血中17-ヒドロキシプロゲステロン高値,21-デオキシコルチゾール高値が参考となる.
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基準値・異常値

基準範囲
0.03~0.04ng/ml
変動要因
高値

先天性副腎皮質過形成の一部(21-水酸化酵素欠損症),Cushing症候群

低値

先天性副腎皮質過形成の一部(11β-水酸化酵素欠損症),Addison病,ACTH単独欠損症,下垂体前葉機能低下症

次に必要な検査
異常値の場合,その調節因子であるACTH,および副腎皮質からのコルチゾールアルドステロンおよびその中間代謝産物を測定する.
変動要因
  • 高値:ストレス下での採血を除外する.また妊娠,エストロゲン製剤の投与でコルチコステロイド結合蛋白が増加し,見かけ上,高値を示す.
  • 低値:副腎皮質におけるホルモンの合成を阻害する薬剤(アミノグルテチミド,ミトタン,トリロスタン)の投与を考える.
( 伊藤 聡 )
臨床検査項目辞典

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「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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