エストロン
エストロン
略称 | E1 |
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臨床的意義
- 正常月経周期をもつ女性では,エストラジオール測定の意義が優る場合が多い.しかし,閉経後,PCOSなどエストロン測定の意義が十分考えられる.
- 生物活性が低いため,その生理的意義は不明であり,したがってエストロン測定の臨床的意義も不明な点が多い.しかし,特に,閉経後女性における女性ホルモンとしての意義,子宮体癌発生との関係,多のう胞性卵巣症候群(PCOS)における意義,ホルモン産生腫瘍における産生など,今後の検討が必要である.
- 年齢など他の要因を勘案して異常値と考えられる場合,エストラジオール,テストステロン,アンドロステンジオンなど他のステロイドホルモンを測定する.また,LHとFSHの同時測定が意味をもつ場合がある.エストロン測定単独で判断することは困難であり,他のホルモン測定値とともに,総合的に判断する.
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基準値・異常値
- 基準範囲
-
〈血中E1〉(参考基準値,単位:pg/ml)
- 男性:10~90
- 女性(非妊婦):
卵胞期15~130
排卵期60~310
黄体期25~210 - 女性(妊婦):
前期50~500
中期800~10,000
後期10,000~40,000
〈尿中E1〉(参考基準値,単位:μg/day)
- 男性:0.3~10
- 女性(非妊婦):
卵胞期1~8
排
変動要因
- 高値
-
エストロゲン産生腫瘍、 多のう胞性卵巣症候群(PCOS)
肥満,多のう胞性卵巣症候群(PCOS),エストロゲン産生腫瘍
- 低値
-
やせ
やせ
- 次に必要な検査
-
エストラジオールなど他の性ステロイドホルモンを測定する.
- 変動要因
- 結合型エストロゲンの使用により,異常高値を示すことがある.他の関連ホルモン測定値を参照し判断する.
( 石原 理 )
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