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フィブロネクチン

フィブロネクチン

略称 FN

臨床的意義

  • 一般に血漿FNを測定する意義は高くないが,血漿FN測定は炎症時に増加する急性期反応物質としての意味がある.さらに低栄養状態の有用性は血漿アルブミン,血漿トランスフェリンより高いとの報告がある.一方,血管内皮細胞の活性化マーカーとしてvon Willebrand因子とともに子癇前症の予測に検査されるが,鋭敏ではないとされる.
  • このように血漿FNは種々の要素を反映することによる変動があり,疾患の診断に用いられることはほとんどない.種々の病態の推移や重症度の把握には有用であると考えられているが,病院検査室で測定することはなく,また衛生検査所での血漿FN検査も現在受注されていない.
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基準値・異常値

基準範囲
250~460μg/ml(血漿)
変動要因
高値

ネフローゼ症候群、  もやもや病、  外科手術後、  急性肝炎、  血管炎症候群、  原発性胆汁性肝硬変、  甲状腺機能亢進症、  高脂血症、  子癇、  子癇前症、  脂肪肝、  正常妊娠、  川崎病(回復期)、  全身性エリテマトーデス(SLE)、  転移癌、  糖尿病、  糖尿病腎症、  肥満、  閉塞性黄疸

血管炎症候群,急性肝炎,脂肪肝,原発性胆汁性肝硬変,閉塞性黄疸ネフローゼ症候群糖尿病腎症,糖尿病甲状腺機能亢進症,肥満,高脂血症,転移癌,正常妊娠,子癇,子癇前症,外科手術後,もやもや病,全身性エリテマトーデス(SLE),川崎病(回復期)

次に必要な検査

血漿FN高値の場合,原疾患に関連した検査を行う.例えばSLEの場合,疾患活動性をみるため,抗ds-DNA抗体,補体(C3C4CH50)などの検査を進める.
低値

DIC、  火傷、  肝癌、  肝硬変、  急性糸球体腎炎、  劇症肝炎、  甲状腺機能低下症、  再生不良性貧血、  細菌感染症、  腎不全、  川崎病(急性期)、  低栄養、  敗血症

甲状腺機能低下症,低栄養,細菌感染症,敗血症川崎病(急性期),DIC,再生不良性貧血肝硬変,劇症肝炎,肝癌,急性糸球体腎炎,腎不全,火傷

次に必要な検査

血漿FN低値の場合も疾患に関連した検査を行うと同時に,その原因が産生低下か消費によるものかを総合的に検討する.
変動要因
低値の場合が問題となる.
  1. フィブリン形成でFNが消費されるため,血清では血漿より低値となる.
  2. FNはヘパリン結合領域をもつためヘパリン血ではFNが凝集し低値となる.
  3. FNは寒冷不溶性糖蛋白であり,低温で保存すると析出するため低値となる.
( 大田俊行 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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