KMO-1
KMO-1
臨床的意義
- 本検査は,膵癌,胆道系の癌を疑うとき,また,その他の消化器癌を疑うときに行われる.
- KMO-1測定により,膵癌,胆道系癌をはじめとする消化器癌の存在を推定することができる.
- 膵癌,胆のう・胆管癌においては,KMO-1とCA19-9はほぼ同等の陽性率(70%)であるが,肝癌においてはKMO-1(60%)の方がCA19-9より陽性率が高い.ただし,良性肝疾患での偽陽性率もやや高くなる.また,他の腫瘍マーカーとの組み合わせにより,診断率が向上することが知られる.
- 最近,CA19-9,CA50,SPan-1,KMO-1などの腫瘍マーカーで主に検出されているシアリルLea糖鎖が,細胞接着分子であるE-セレクチンと結合するリガンド糖鎖であることが判明した.E-セレクチンは,血管内皮細胞に発現することから,癌細胞のシアリルLea糖鎖と,血管内皮細胞のE-セレクチンが結合することにより,癌の血行性転移が促進されると考えられるようになった.このため,癌細胞におけるシアリルLea抗原の発現は,癌転移の危険因子であるとみなされるようになってきている.
詳細を見る
基準値・異常値
- 基準範囲
-
- EIA:530U/ml未満(腫瘍マーカーとしてのカットオフ値)
- RPHA:8倍未満
- 陽性
-
胃癌、 肝癌、 肝硬変、 急性肝炎、 食道癌、 大腸癌、 胆のう・胆管癌、 胆管炎、 肺癌、 慢性膵炎、 膵癌
- 偽陽性
-
ルイス式血液型がLea-b-の患者
- 次に必要な検査
-
KMO-1が陽性の場合には,膵癌,胆のう・胆管癌,肝癌,胃癌,大腸癌,肺癌を疑い,これらの癌の有無を精査する.X線など画像診断検査,内視鏡検査,病理学的検査などで確認する.
( 神奈木玲児 )
「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。