前立腺特異抗原・α1-アンチキモトリプシン複合体
前立腺特異抗原・α1-アンチキモトリプシン複合体
略称 | PSA-ACT |
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臨床的意義
- 前立腺癌患者では前立腺肥大症患者に比較して血液中PSA-ACTの比率が高く,病期が進むにしたがい高値を示すことが知られている.total PSA 4.1~10.0ng/ml(グレーゾーン)の前立腺癌診断において,特異度の向上が得られるとされる.血液中PSA-ACTは治療後の病勢をよく反映するとされている.total PSAの基準値4.0ng/mlに相当するPSA-ACTの基準値は3.75ng/mlとされる.
- total PSA値が4.0ng/mlより高値の場合,二次検診としてPSA再検,経直腸前立腺触診,経直腸超音波検査,free PSA/total PSA,PSA density,PSA adjusted for the transition zone volume検査などとともにPSA-ACT検査も考慮される.PSA-ACTは二次検査の精査としての活用が考えられるが,その意義はまだ確立していない.前立腺癌の治療経過の指標としての意義も検討されている.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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3.75ng/ml
変動要因 - 高値
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前立腺癌,前立腺肥大症,急性前立腺炎
- 変動要因
- PSA-ACT検査を単独で行う利点は確立されておらず,他のPSA関連マーカー(年齢階層別PSA,PSA density,PSA adjusted for the transition zone volume,PSA velocity,free PSA/total PSA)検査の一環として行われる.
- PSA-ACTのみの異常値の場合は,total PSA検査を行うか,他のPSA関連マーカーを考慮して判断する(【→】「前立腺特異抗原」p.523).
( 西山 勉 )
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