抗Ki抗体
抗Ki抗体
別名 | Ki抗体 |
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臨床的意義
- 抗Ki抗体は,SLEの約10~20%,膠原病各疾患による重複症候群(オーバーラップ症候群)の約10%に検出される.しかし,その陽性率は,膠原病の他疾患(強皮症,多発性筋炎/皮膚筋炎,関節リウマチなど)では5%以下である.
- 抗Ki抗体陽性SLEでは,血清学的に抗Sm抗体,LE細胞陽性が同時に認められることが多い.また,抗Ki抗体陽性SLEの臨床的特徴として,心外膜炎,肺高血圧症,持続性関節炎,円板状ループスなどが報告されている.
- 抗Ki抗体陽性SLEで,経過中に筋炎の存在が明らかになる症例が経験されること,SLEの臨床所見を欠く重複症候群(強皮症-多発性筋炎重複症候群)でも本抗体が検出されることから,抗Ki抗体と筋炎との関連が示唆されている.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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陰性
変動要因 - 陽性
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重複症候群、 全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデス(SLE)の約10~20%,重複症候群の約10%
- 次に必要な検査
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SLEあるいは多発性筋炎,強皮症に関する臨床所見〔蝶形紅斑,関節炎,漿膜炎,腎障害,筋痛・筋力低下,血清中筋原性酵素(CKなど)の測定,筋電図,皮膚硬化範囲,肺線維症など〕について検索を行う.
- 変動要因
- 抗Ki抗体が検出されない場合,他の自己抗体である抗Sm抗体,抗U1-RNP抗体,抗ds-DNA抗体,抗Ku抗体,抗Jo-1抗体,抗PM/Scl抗体,抗Scl-70抗体(抗DNAトポイソメラーゼⅠ抗体)などの検査を行う.
( 鏑木淳一 )
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