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抗Ku抗体

抗Ku抗体

別名 Ku抗体

臨床的意義

  • 日本人を対象としたDID法による成績では,抗Ku抗体は膠原病各疾患の中でも2疾患以上を重複する症例,すなわち重複症候群で認められることが多い.特に本抗体は強皮症-PM重複症候群の約25~30%に検出される.
  • 抗Ku抗体陽性例では,レイノー現象,皮膚硬化,筋炎が高率に(90%以上)認められるが,発熱・関節炎など筋外の炎症症状は比較的少ない.また,皮膚硬化は四肢に限局し,筋炎は中等量以上の副腎皮質ステロイド薬に良好に反応する.
  • 一方,アメリカでは,抗Ku抗体と同一の特異性を有する抗p70/p80抗体は,酵素免疫測定法(ELlSA)でSLEの約40%に検出される.この異なる成績は,測定方法,人種間の遺伝的素因・環境要因によると考えられている.
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基準値・異常値

基準範囲
陰性
変動要因
陽性

強皮症、  強皮症-多発性筋炎重複症候群、  混合性結合組織病、  全身性エリテマトーデス(SLE)、  多発性筋炎(PM)

  • 日本人では,重複症候群〔特に強皮症-多発性筋炎重複症候群〕の約25~30%で陽性
  • 全身性エリテマトーデス(SLE),強皮症,多発性筋炎(PM)ではまれ(約2%以下)
  • 欧米人では,SLEの約40%に陽性となるほか,強皮症,混合性結合組織病でもみられる

次に必要な検査
強皮症,多発性筋炎の臨床所見について検討する.例えば,皮膚硬化範囲の判定,皮膚生検,指尖瘢痕(digital pitting scar)の有無,胸部単純X線写真などによる肺線維症の有無などの検討,血清中筋原性酵素(CKなど)の測定,筋電図,筋生検などによる筋炎の有無の検討である.
変動要因
重複症候群が疑われ,抗Ku抗体が検出されない場合,他の自己抗体である抗Scl-70抗体(抗DNAトポイソメラーゼⅠ抗体),抗セントロメア抗体,抗Jo-1抗体,抗PM/Scl抗体,抗Ki抗体などの検査を行う.
( 鏑木淳一 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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