抗ミエリン塩基性蛋白抗体
抗ミエリン塩基性蛋白抗体
略称 | MBP Ab |
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別名 | 抗MBP抗体,ミエリン塩基性蛋白抗体 |
臨床的意義
- 抗MBP抗体の測定は多発性硬化症,神経Behçet病,脳血管障害などに有用であり,CSF中のMBP量とともに臨床像の増悪・寛解と密接に関連する.
- MBPの出現よりかなり遅れて産生される抗MBP抗体は,増悪期では遊離の形で,慢性進行期ではMBPと複合体を形成する傾向があり,両タイプを区別して測定する必要がある.MBPと抗MBP抗体の関連の詳細は不明である.
- 一時期,MBP抗体は多発性硬化症進行の予後指標として有用とされたが,最近の大規模試験から多発性硬化症進展とは関連しないとの報告が出された.
- 多発性硬化症や神経Behçet病では増悪・寛解が繰り返されることから,血中およびCSF中の抗MBP抗体をチェックするとともに,臨床像との対応が認められているCSF中のMBP量も測定しておくことが望ましい.
- MSの急性増悪期では抗MBP抗体は遊離の形で存在し,慢性進行期には抗原と複合体をつくって存在しているとされる.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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陰性(基準値を1.0としたとき:血清1.5以下,髄液1.6以下)
変動要因 - 陽性
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脳血管障害,多発性硬化症(一部の症例では,増悪期に血中およびCSF中で高力価を示す),神経Behçet病,脊髄症など.脳脊髄液中でミエリン塩基性蛋白(MBP)が高値を示す疾患群に検出される.MBPとは異なり,陰性化には長期を必要とする.
- 偽陽性
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多くは回復過程で低値~基準値を示す.
- 次に必要な検査
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特に多発性硬化症や神経Behçet病では血中やCSF中の抗体価をフォローするだけでなく,CSF中のMBP量も定量しておいた方がより有用な指標が得られる.
- 変動要因
- 主として中枢神経の脱髄や破壊を伴うおそれのある疾患では,抗MBP抗体が出現する可能性がある.
( 太田光煕,太田潔江 )
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