メタボリックシンドローム
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「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.
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Clinical Chart
- メタボリックシンドロームは,「内臓脂肪蓄積によってインスリン抵抗性が惹起されることに基づく,冠動脈疾患の強力なリスクの複合病態」と考えられている.
- 診断基準は世界的にはまだ統一されていないが,日本では日本内科学会を中心とした 8学会合同の診断基準(2005)が使用されている.
- 日本の診断基準では,内臓脂肪蓄積の簡便な指標としてウエスト周囲径を必須項目とし男性 85 cm 以上女性 90 cm 以上としている.
- 2,452 名を 14 年間追跡した久山町研究では,日本の診断基準によるメタボリックシンドロームを有する患者の心血管疾患発症の相対危険度は男性で 1.3,女性で 1.9 と,女性で有意に高かった
- 治療に関しては,食事療法と運動療法を中心とした生活習慣の改善と禁煙指導が最も重要であり,基本となる.
- 薬物療法としては,高血圧,高 TG 血症・低 HDL 血症,耐糖能異常に対する薬物の使用が重要であり,インスリン抵抗性を改善させる薬物(少なくともインスリン抵抗性を悪化させない薬物)を選択することが重要なポイントである.
動脈硬化疾患のスクリーニング検査
①冠動脈疾患のスクリーニング検査として,可能な限りトレッドミル検査を施行すべきである.そして,トレッドミル検査が陽性の場合には,冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパス手術(CABG)の実績が豊富な施設(循環器内科と心臓血管外科ともに高水準の施設)に早急に紹介すべきである.また,トレッドミル検査が陰性の場合でも 1~2 年に 1 回ほどの頻度で検査を行い,心機能の評価を行っていくのが望ましい.
②頸動脈エコーによる内膜-中膜複合体肥厚度(intima-media thickness:IMT)やその進展度は,心血管疾患や脳梗塞と関連すると考えられている.筆者は,1~2 年に 1 回のペースで IMT を測定すべきだと考えている.IMT の肥厚(1.1 mm 以上)やプラークを認めれば,神経内科医・循環器内科医にコンサルテーションして,頭部 MRI やトレッドミル検査にて脳血管障害・冠動脈疾患の早期発見・評価に努めるとともに,今まで以上に,血糖・血圧・脂質のコントロールを良好にする努力が必要である.
②頸動脈エコーによる内膜-中膜複合体肥厚度(intima-media thickness:IMT)やその進展度は,心血管疾患や脳梗塞と関連すると考えられている.筆者は,1~2 年に 1 回のペースで IMT を測定すべきだと考えている.IMT の肥厚(1.1 mm 以上)やプラークを認めれば,神経内科医・循環器内科医にコンサルテーションして,頭部 MRI やトレッドミル検査にて脳血管障害・冠動脈疾患の早期発見・評価に努めるとともに,今まで以上に,血糖・血圧・脂質のコントロールを良好にする努力が必要である.