サルコイドーシス
sarcoidosis
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「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
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Clinical Chart
- サルコイドーシスは全身の臓器(肺,リンパ節,皮膚,眼,心臓,肝臓,脾臓,筋肉,神経,唾液腺など)に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の疾患である.
- 診断は,病理組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を一臓器以上で認める組織診断群と,組織学的証明はないが 2 つ以上の臓器でサルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見に加えて全身反応を示す検査所見を認める臨床診断群でなされるが,いずれの場合も各臓器に応じた他疾患の除外診断が必要である.
- 当初は診断基準を満たさない疑診症例でも,後になって診断基準を満たすことがあり,臨床的に疑わしい場合は長期間の経過観察を行うことが重要である.
- 軽症例が比較的多く,肺門・縦隔リンパ節病変などであれば 2 年間の無治療経過観察で約 70%の症例で自然退縮を認めるため,経過観察が選択肢にあがる.
- ステロイド内服は短期的な効果は高いが高率に再発するため,適応は心臓病変,中枢神経病変,局所治療で改善しない眼病変,高カルシウム血症を認める症例,広範な肺野病変を認め自覚症状を伴う症例などに限られる.吸入ステロイドの効果も報告があり,有害事象が少ないため併用も行われる.
- 難治例においては,ステロイド内服に加えて免疫抑制剤(メソトレキセート,アザチオプリンなど)の併用も検討される.
検査
「サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き―2006 要約」の手順に従って検査を行う.
- ①採血
- 血清ACE(angiotensin-converting enzyme)の上昇(25IU/L をカットオフとした際に約30%),可溶性IL-2受容体の上昇(520IU/mL をカットオフとした際に約70%),高カルシウム血症(10.5mg/dLをカットオフとした際に約10%)の上昇を認める.
- ②胸部単純Xp
- 肺門リンパ節腫脹,すりガラス陰影,網状粒状影,線状影を認め,肺の構築改変が進むと牽引性気管支拡張像,蜂巣肺などを認める.
- ③胸部CT(HRCT)
- サルコイドーシスでは,リンパ路(小葉中心と小葉辺縁の両方に存在)に沿った肉芽腫性病変の分布が特徴的である.そのため,上葉・中葉優位の非区域性の小葉中心性の粒状影,すりガラス陰影やすりガラス状結節(ground glass nodule:GGN),気管支肺動脈束の腫大, 小葉間隔壁の肥厚・粒状影,臓側胸膜上の粒状影などを認める.また,肉芽腫性病変が粒状影として集族して結節を形成し,その周囲に微細粒状影が取り巻くgalaxy signも特徴的とされる.
肺の線維化,構築改変が進むと牽引性気管支拡張像,蜂巣肺などを認める. - ④呼吸機能検査
- サルコイドーシスでは,肺野病変が認められる場合は早期には肺拡散能の低下が認められる.進行すると拘束性換気障害も出現し,肉芽腫による終末細気管支の狭窄を反映した閉塞性換気障害が加わって,混合性換気障害となることもある.
- ⑤気管支鏡
- 気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BALF)ではリンパ球の増加が認められ,一般的にはCD4 リンパ球の増加によりCD4/CD8 比率は上昇し,3.5以上を呈する症例が約60%(特異度94%)に上る.
経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy:TBLB)では,組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認める(41~57%).
なお,活動性の指標として表8が参考になる.
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表8 活動性指標
臨床 生化学ないし機器検査 画像 発熱
ぶどう膜炎
結節性紅斑
ループスペルニオ
瘢痕の変化
多発性関節炎
牌腫
リンパ節腫大
唾液腺,涙腺の腫大
心筋病変
顔面神経麻痺
または他の神経症状/徴候
進行性呼吸器症状
(呼吸困難,咳)血清ACE
高カルシウム血症
肺機能所見の悪化
BALF:
リンパ球分画の増加
CD4/CD8 比の上昇
TBLB:
リンパ球性胞隔炎
心電図,超音波検査
タリウムスキャンの異常
肝機能異常胸部Xp やCT の進行性変化
HRCT でのスリガラス病変
67Ga の取り込み
眼底の蛍光血管造影
脳のMRI またはCT
骨囊 胞