多発性筋炎/皮膚筋炎
PM/DM
polymyositis/dermatomyositis
疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。
「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.
詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。
(リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690)
Clinical Chart
- 自己免疫性の炎症性筋疾患で,主に体幹や四肢近位筋,頸筋,咽頭筋など横紋筋の筋力低下をきたす.そのため,両上肢の挙上困難,起き上がり困難や階段が登れないなどの症状を訴える.
- 皮疹を伴うものは皮膚筋炎とよび,伴わないものを多発性筋炎とよぶ.
- 好発年齢には,5~9 歳と 50 歳代の 2 つのピークがある.男女比 1:3 で,有病者は20,000 人と推定されている.
- 皮膚症状では,手指の関節背側,肘関節や膝関節外側のがさがさした紅斑(ゴットロン徴候),上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な皮膚症状がある.
- 検査所見では,筋組織崩壊を反映して,筋原性酵素高値を認める他,他の膠原病と同様に高γグロブリン血症や自己抗体を認める.
- 通常はステロイド治療によく反応する.歩行訓練などのリハビリを行う.
- 無筋型皮膚筋炎(amyopathic dermatomyositis)に伴う間質性肺炎は死亡率が高い.
- 悪性腫瘍の合併がみられることがあり,PM より DM に多くみられ,DM の高齢者では癌の検索が必要である.
- PM/DM は,国の特定疾患に指定されており,申請すれば医療助成を受けることができる.
検査
・ 筋肉の炎症により筋酵素(CK,アルドラーゼ,ミオグロビン)が著明に上昇しAST,ALT,LDH も上昇する.
・ アミノアシルtRNA 合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase:ARS)と総称される一連の細胞内酵素に対する抗体(抗ARS 抗体)が近年の研究より筋炎と臨床症状を関連付ける成果が表れつつある.
抗Jo-1 抗体は,抗ARS 抗体の一つであるヒスチジルtRNA 合成酵素に対する抗体で,PM/DM の疾患特異的抗体とされる.陽性では間質性肺炎や関節炎を合併しやすい.
抗SRP(シグナル認識粒子)抗体陽性ではステロイド抵抗性が多い.
抗Mi-2 抗体陽性では間質性肺炎の合併が少ない.
抗MDA5 抗体(抗CADM-140 抗体)陽性は皮膚筋炎に特異的だが,臨床的無筋型皮膚筋炎(clinically amyopathic dermatomyositis:CADM)とよばれる筋症状が少ない急速に進行する間質性肺炎合併が多い.
・KL-6,SP-D:間質性肺炎合併例で上昇する.
①筋電図
筋原性変化(低電位,低振幅)をみる.
②筋生検
さまざまな筋線維の大小不同を伴った壊死と再生がみられる.多発筋炎では筋線維にCD8+T 細胞とマクロファージの浸潤がみられる.皮膚筋炎では,血管周囲にCD4+T 細胞の浸潤が見られるが,筋線維への浸潤に乏しい.
③MRI
T2 画像,とくにSTIR 画像にて筋肉の炎症による浮腫状の所見がわかる.筋生検の部位を決める際にも有用な情報となる.治療効果の評価やステロイドミオパシーとの鑑別にも利用されている.
④FDG-PET/CT
PM・DM では横紋筋の炎症性疾患の病変部位が描出され,筋生検の指標になる.悪性疾患を合併している部位も陽性に描出される利点もあわせもつ.
・ アミノアシルtRNA 合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase:ARS)と総称される一連の細胞内酵素に対する抗体(抗ARS 抗体)が近年の研究より筋炎と臨床症状を関連付ける成果が表れつつある.
抗Jo-1 抗体は,抗ARS 抗体の一つであるヒスチジルtRNA 合成酵素に対する抗体で,PM/DM の疾患特異的抗体とされる.陽性では間質性肺炎や関節炎を合併しやすい.
抗SRP(シグナル認識粒子)抗体陽性ではステロイド抵抗性が多い.
抗Mi-2 抗体陽性では間質性肺炎の合併が少ない.
抗MDA5 抗体(抗CADM-140 抗体)陽性は皮膚筋炎に特異的だが,臨床的無筋型皮膚筋炎(clinically amyopathic dermatomyositis:CADM)とよばれる筋症状が少ない急速に進行する間質性肺炎合併が多い.
・KL-6,SP-D:間質性肺炎合併例で上昇する.
①筋電図
筋原性変化(低電位,低振幅)をみる.
②筋生検
さまざまな筋線維の大小不同を伴った壊死と再生がみられる.多発筋炎では筋線維にCD8+T 細胞とマクロファージの浸潤がみられる.皮膚筋炎では,血管周囲にCD4+T 細胞の浸潤が見られるが,筋線維への浸潤に乏しい.
③MRI
T2 画像,とくにSTIR 画像にて筋肉の炎症による浮腫状の所見がわかる.筋生検の部位を決める際にも有用な情報となる.治療効果の評価やステロイドミオパシーとの鑑別にも利用されている.
④FDG-PET/CT
PM・DM では横紋筋の炎症性疾患の病変部位が描出され,筋生検の指標になる.悪性疾患を合併している部位も陽性に描出される利点もあわせもつ.