保険診療上で使用されている名称。
寒冷凝集反応
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 基本的にはマイコプラズマあるいは他のウイルス性疾患の鑑別ならびに自己免疫性溶血性貧血(特に寒冷凝集素症)の鑑別に利用される.
- マイコプラズマに感染すると,寒冷凝集素反応の出現は早く,病初期より陽性となり,発病第3週頃に最高となり,その後急速に陰転化する.したがって,病初期と回復期(発病後第2週目~6週目)に採取したペア血清で通常4倍以上(2管以上)の抗体価上昇を陽性とし,診断の確定や臨床経過の観察に利用する.また,自己免疫性溶血性貧血の診断に重要である.
- 健常人では寒冷凝集素価は低値であるが,一部の疾患で上昇することから,生体内の免疫異常をみる補助診断の一助となることも多い.
- マイコプラズマに特異的な反応ではなく,他のウイルス性疾患でも上昇することがあり,補助検査には有用である.非特異的反応であり,結果の解釈には注意を要する.
- 自己免疫性溶血性貧血の一つである寒冷凝集素症(cold agglutinin disease:CAD)は,その機序として,10~20℃以下の寒冷にさらされると,体内において赤血球と寒冷凝集素が凝集を起こし補体のC1~C3までが結合する.再び保温されると,寒冷凝集素は赤血球から遊離する.その際,補体系(C5~C9)が活性化され,溶血を起こすことがある.
- CADによる溶血は,温式赤血球自己抗体と同様に血管外溶血のことが多いが,顕著な血管内溶血を伴うこともある.このように溶血を起こす寒冷凝集素は,通常健常人が持っている寒冷凝集素とは異なり,赤血球と結合する寒冷凝集素のもつ抗原結合部位(イディオタイプ)において差異があるわけである.
- 寒冷凝集素である自己抗体はIgMグロブリンに属するため,免疫電気泳動検査により多クローン性IgMか単クローン性IgMかを判別する必要がある.
基準値・異常値
( 大谷慎一 )
医療機関が行った保健医療サービスに対する公定価格のこと。現在1点は10円。
平成30年度診療報酬改定(平成30年3月5日)に基づきます。
検査料 |
11点 |
包括の有無 |
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判断料 |
免疫学的検査判断料144点 |
算定条件 |
(1) 検体検査については、実施した検査に係る検体検査実施料及び当該検査が属する区分(尿・糞便等検査判断料から微生物学的検査判断料までの6区分)に係る検体検査判断料を合算した点数を算定する。 (2) 各区分の検体検査判断料については、その区分に属する検体検査の種類及び回数にかかわらず、月1回に限り、初回検査の実施日に算定する。 (3) 実施した検査が属する区分が2以上にわたる場合は、該当する区分の判断料を合算した点数を算定できる。 (4) 同一月内において、同一患者に対して、入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科において検体検査を実施した場合においても、同一区分の判断料は、入院・外来又は診療科の別にかかわらず、月1回に限る。 (5) 上記の規定にかかわらず、区分番号「D000」尿中一般物質定性半定量検査を実施した場合は、当該検査に係る検体検査判断料は算定しない。 区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「15」の慢性維持透析患者外来医学管理料又は区分番号「D025」基本的検体検査実施料を算定した月と同一月に検体検査を行った場合は、それぞれの区分に包括されている検体検査に係る判断料は別に算定できない。 (6) 注3に規定する検体検査管理加算(Ⅰ)は入院中の患者及び入院中の患者以外の患者に対し、検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)及び検体検査管理加算(Ⅳ)は入院中の患者に対して、検体検査を実施し検体検査判断料のいずれかを算定した場合に、患者1人につき月1回に限り加算するものであり、検体検査判断料を算定しない場合に本加算は算定できない。 また、区分番号「D027」基本的検体検査判断料の注2に掲げる加算を算定した場合には、本加算は算定できない。 (7) 入院中の患者について注3に規定する検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)又は検体検査管理加算(Ⅳ)を算定している保険医療機関であっても、入院中の患者以外の患者について検体検査管理加算(Ⅰ)を算定することができる。 (8) 注5に規定する遺伝カウンセリング加算は、臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師が、区分番号「D006-4」遺伝学的検査を実施する際、以下のいずれも満たした場合に算定できる。
(10) 注7に規定する免疫電気泳動法診断加算は、免疫電気泳動法の判定について少なくとも5年以上の経験を有する医師が、免疫電気泳動像を判定し、M蛋白血症等の診断に係る検査結果の報告書を作成した場合に算定する。 |