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EBウイルス

EBウイルス

略称 EBV

臨床的意義

本検査は,発熱,咽頭痛および肝機能障害などの症状でEBウイルス感染症が疑われるとき,またはEBウイルス関連腫瘍を疑うときに行われる.
臨床場面では下記のような指標として利用される.
  1. 未感染:すべてのEBウイルス抗原に対する抗体が陰性.
  2. 既感染:抗VCA IgG抗体および抗EBNA抗体が陽性.
  3. 伝染性単核症:思春期以降の若年者の初感染によって起こる良性疾患.急性期に抗VCA IgG抗体陽性で抗EBNA抗体陰性となる.抗VCA IgM抗体の検出が確定診断となる.
  4. 慢性活動性EBウイルス感染症:発熱,肝腫および脾腫などで発症し,多臓器不全を起こすなど予後が非常に悪い疾患.抗VCA IgG抗体および抗EA-DR IgG抗体が異常な高値を示す.
  5. EBウイルス関連血球貪食症候群発熱,肝脾腫,発疹,神経症状および汎血球減少が主な症状で,ときに致死的な転帰をとることもある.抗VCA IgG抗体陽性,抗EBNA抗体陰性の初感染型を示す.
  6. Burkittリンパ腫:熱帯アフリカに多発する小児顔面のBリンパ腫.c-myc遺伝子の転座が認められる.抗VCA IgG抗体および抗EA-DR IgG抗体ともに強陽性.
  7. 上咽頭癌:上咽頭部分に原発する扁平上皮癌.抗VCA IgG抗体および抗EA-DR IgG抗体強陽性.抗VCA IgA抗体の検出が診断の一助となる.
  8. B細胞性日和見リンパ腫:細胞性免疫機能が低下した宿主にみられるリンパ腫で,潜伏感染状態にあるBリンパ球が無限増殖することによって起こる.抗VCA IgG抗体および抗EA-DR IgG抗体ともに強陽性.
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基準値・異常値

基準範囲
  • 未感染者:抗VCA抗体が10倍未満の陰性者
  • 既感染者(不顕性感染者;大部分の健康成人):抗VCA IgG抗体および抗EBNA抗体がともに10倍以上の陽性者
陽性

Burkittリンパ腫、  B細胞性日和見リンパ腫、  上咽頭癌、  慢性活動性EBウイルス感染症

  • 640倍以上の陽性:慢性活動性EBウイルス感染症,Burkittリンパ腫,上咽頭癌,B細胞性日和見リンパ腫
  • 10倍程度の陽性:伝染性単核症急性期

( 小林 了 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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