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気管支喘息

別名 bronchial asthma

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 成人の有病率は約 10%とかなり頻度の高い疾患である.また喘息死は年間 2,000 人弱で,減ってはきたものの生命にかかわる疾患であるという認識も忘れてはならない.治療目標は,呼吸機能を正常化して日常生活に支障をきたすことなく良好なコントロールにして,年間 2,000 人近い喘息死を回避すること.
  2. 気道の慢性炎症性疾患であり,吸入ステロイド治療を中心とし,ピークフローモニタリングで客観的に病状を把握する.
  3. 発作性の呼吸困難,喘鳴,咳嗽(夜間・早朝に多い),高調性連続性雑音(wheeze)の聴取,気道可逆性(ピークフローの日内変動 20%以上,β2刺激薬吸入で 20%以上の改善,スパイロメトリーでβ2刺激薬吸入前後に FEV1が 200 mL 以上かつ 12%以上増加),痰や血中の好酸球増加,呼気中一酸化窒素(FeNO)上昇を認める.
  4. 慢性管理における基本治療薬剤は吸入ステロイドであり,「喘息予防・管理ガイドライン2012」の重症度に応じた段階別治療(ステップ 1~4)に従って,長時間作用型β2刺激薬,ロイコトリエン拮抗薬,テオフィリン製剤の併用がなされる.短時間作用性β2刺激薬は発作時に頓用で吸入し,1 日 4 回以上の吸入を要する場合には,治療ステップを上げる.
  5. 重篤な発作を繰り返す,ステップ 4 の治療を行ってもコントロール困難な症例やステロイド内服をたびたび要する症例,喘息を合併する他の疾患との鑑別を要する場合(アレルギー性気管支肺真菌症,鼻茸合併例)は専門医へ紹介.
  6. 急性発作の治療は,短時間作用性β刺激薬吸入を基本とし,効果がなければステロイド薬経静脈投与を追加する.
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診断

 気管支喘息の診断は,臨床的特徴と検査所見などを総合して行うもので,明確な診断基準が存在するわけではない.これは喘息の原因が様々で,病像もさまざまであることと関連している.ある人にとってのアレルゲンが別の喘息の人ではまったく発作の誘因にならないことはよくあることで,重症度も様々でさらに薬の反応性もさまざまという「多様性」が喘息の特徴である.
 一般的には,①喘息として矛盾しない臨床症状,②喘息に合致する検査所見,③他の疾患の除外,が必要である.
①臨床症状:発作性の呼吸困難,喘鳴,胸苦しさ,咳(夜間・早朝)の反復
 症状は夜間・早朝に出現することが多く,無症状期を挟んで反復すること,また体位による症状の変化(臥位で症状悪化),労作時だけでなく安静時に出現することも喘息の特徴である.心不全との鑑別では,心不全では臥床により静脈還流が増え呼吸困難が生じるため就寝後に呼吸困難が悪化するのに対し,気管支喘息は時間が関与するため夜になると悪化するという違いがある.
 喘鳴が有りますか,という質問は「呼吸の時に喉がゼーとかヒューとかなっているのが聞こえませんか?」と言い換える.
 さらに喘息の場合,いくつかの危険因子と増悪因子がある(表1).両親が喘息であれば3~5 倍の発症リスクが有り,アトピー素因の有無も重要である.増悪因子は患者によって異なるためすべての患者に当てはまるわけではないが,過去にも同じ季節に咳が長引いたことがないか,風邪の後で咳が何カ月も続いたことはないか,女性であれば月経前後での症状の変化などの問診は喘息を鑑別する上では確認したいことである.
  1. ②喘息に合致する検査所見
    1. ① 可逆性の気流制限:発作は可逆性の気流制限によって生じる.典型的にはこの気流制限は,聴診で高調性の連続性雑音として聴取され,呼気の延長を認めるが,聴診で異常を認めなくても気流制限が存在することもある.
       ピークフローの日内変動が20%以上やβ2刺激薬吸入前後で20%以上の改善を認めれば喘息を示唆する.
       肺機能検査では,未治療かつ有症状時であればピークフローの低下,FEV1(一秒量)の減少,FEV1/FVC(一秒率)の低下,フローボリューム曲線下に凸を認めることが多い.それに加えβ2刺激薬吸入前後で一秒量が200 mL かつ12%以上増加した場合には可逆性ありと判断できる.受診時に症状が軽度の場合には,肺機能検査は一見正常であることも多い.その場合,V25 が予測値より低いことが末梢気道の狭窄を示唆するので参考にする.逆に,長期間喘息に罹患している患者では気道のリモデリングにより,一秒量もピークフローも低値のままで,β2刺激薬やステロイドを使用しても一秒量やピークフローがあまり改善しないこともあり,COPD との鑑別が困難なこともある.
    2. ② 気道過敏性の亢進:実施できる施設は限られているが,メサコリン吸入試験でFEV1が20%以上低下すれば気道過敏性が亢進していると判断し,呼吸機能検査が正常でも気管支喘息が疑われる.
    3. ③ アトピー素因の証明:アトピー素因の存在の証明は気管支喘息の確率を高めるが,診断的なものではない.特に高齢の喘息患者では,特異的IgE 抗体がすべて陰性であることも多い.末梢血の血液像で好酸球数の増加,種々のアレルゲンに対する
      特異的IgE 抗体(RAST)の存在は喘息の補助診断となる.項目を指定して検査する方法と,セットでスクリーニング的に検査する方法(鼻炎・喘息16,MAST33 など)があるが,保険点数(=自己負担は3 割負担で×3 円)が1 項目110 点,13 項目以上1,430 点となっており,多数の項目を調べる際は一言負担額について説明しておく.1 項目ずつ採血するのであれば,ハウスダスト,ヤケヒョウヒダニ,カンジダ,ペットがいればペット,ガ,ゴキブリなどを検査.特定のアレルゲンに対する即時型皮膚反応陽性,吸入誘発試験陽性であればアトピー型喘息を診断するより信頼性の高い方法であるが,呼吸器・アレルギーを専門にしている施設で実施するのが現実的であろう.
    4. ④ 気道炎症の存在:痰の好酸球比率の増加またはECP(eosinophil cationic protein)高値,クレオラ小体(剥離した気道上皮)の証明は気道炎症を示唆する.血清ECP 高値,呼気中NO 濃度(FeNO)も好酸球性気道炎症を示唆し,治療により低下する.
  1. ③鑑別すべき疾患の除外(表2)
     慢性咳嗽で胸部レントゲン正常の疾患として鑑別すべきものと,喘鳴を症状とする疾患として鑑別すべきものが混じっているが,通常気管支喘息のみであれば胸部レントゲンは正常である.また高齢者では気管支喘息に心不全を合併していたり,COPD を合併していたりすることもあり,気流制限の可逆性の有無の評価が必要となる.
     さらに,喘息を伴う症候群について理解し,区別すること.これらの疾患は呼吸器内科専門医が管理するほうが望ましい.ただしアスピリン喘息は頻度が高く,プライマリ・ケア医も基本的な対応方針を理解しておくことが望まれる.
    1. ① アスピリン喘息(NSAIDs 過敏喘息):NSAIDs 過敏+鼻ポリープ
    2. ② ABPM(アレルギー性気管支肺真菌症):肺浸潤影+アスペルギルスを代表とする真菌に対するアレルギー反応
    3. ③ Churg-Strauss 症候群(好酸球性肉芽腫性多発血管炎):好酸球増多+肉芽腫性血管炎

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表1 喘息の危険因子
表はPC版サイトをご覧ください
表2 鑑別すべき疾患
表はPC版サイトをご覧ください
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