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高血圧症

別名 hypertension

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 高血圧の日常診療は,高血圧治療ガイドライン 2014(JSH2014)に標準的な指針が示され,関連するガイドブックなども有用である.
  2. 脳心血管疾患の予防が治療の目的である.認知症の予防,進展にも関与する.糖尿病,脂質異常,肥満,喫煙など,ほかの動脈硬化進展因子を同時に管理することが重要である.
  3. 診療で評価する血圧値には,診察室血圧(office BP),家庭血圧(HBP),24 時間自由行動下血圧(ABPM)がある.JSH2014 では,家庭血圧は不可欠の評価法とされ,家庭血圧と診察室血圧が食い違う場合は,家庭血圧を優先する.
  4. 高血圧の重症度は,血圧値に加え,心血管病の危険因子,臓器障害/心血管病を組み合わせて心血管病発症の予後を評価し,低リスク群,中等リスク群,高リスク群に層別化する.低リスク群では 3 カ月後に 140/90 mmHg 以上,中等リスク群では 1 カ月後に 140/90 mmHg 以上なら降圧剤治療を開始する.高リスク群ではただちに降圧剤治療を開始してよい.糖尿病,蛋白尿陽性の慢性腎疾患,抗血栓薬服用例では 130/80 mmHg 以上で降圧剤治療を開始する.
  5. 二次性高血圧は,初診時だけでなく,治療抵抗性の場合にも検討する.主なものは,腎血管性,内分泌性(原発性アルドステロン症,Cushing 症候群,褐色細胞腫)である.腎血管性では腹部超音波ドプラー,CT 血管造影などの画像検査を行う.原発性アルドステロン症では,スクリーニングとして ARR(アルドステロン/レニン比)を求め,ARR が 200 以上,かつ PAC≧120 pg/mL で陽性と診断し精査を行う.Cushing 症候群では 1 mg デキサメタゾン抑制テストにて血漿コルチゾール>5μg/dL で疑いが強い.褐色細胞腫では随時尿中総メタネフリン>1,000 ng/mgCr で高い可能性がある.
  6. 降圧目標は若・中年者・前期高齢者(75 歳未満)で 140/90 mmHg 未満,後期高齢者(75歳以上)で 150/90 mmHg 未満をとする.糖尿病,蛋白尿を有する慢性腎臓病,抗血栓薬服用例では脳血管障害予防を重視して130/80 mmHg未満が降圧目標となる.高齢者で糖尿病,蛋白尿を有する腎疾患を合併する場合は,まず高齢者の降圧目標を達成し,忍容性があれば徐々に合併疾患の目標値に近づける.抗血栓薬使用中の高齢者はできるだけ 130/80 mmHg未満を目指す.家庭血圧の降圧目標は診察室血圧より 5 mmHg 低い値で設定されている.
  7. Ca 拮抗薬はもっとも降圧効果が強く,長時間作用型では血圧変動性が改善し,24 時間を通じた降圧が期待できる.臓器血流をよく保持し,糖・脂質・電解質代謝に悪影響がない,中心血圧を下げる,などの優位点がある.RA 系阻害薬(ACE-I/ARB)は循環血液中 RAS 系の抑制による降圧と脳,心臓,腎臓,血管の組織レベルの RAS 系の抑制による臓器保護効果を示す.心不全や冠動脈疾患のリスク減少効果があり,心疾患例の第一選択である.CKDでは,糸球体内圧を低下させることで,蛋白尿減少,腎機能の悪化抑制が見られる.妊婦と授乳婦,両側腎動脈狭窄では禁忌である.腎障害に注意しながら少量から増量するのが原則である.少量利尿薬は Ca 拮抗薬や ACE-I/ARB の併用で用いられる.CKD・糖尿病インスリン抵抗性などの食塩感受性高血圧,心不全,高齢者,減塩が困難な例に有用である.サイアザイドには骨密度を高め骨折を予防する作用がある.β遮断薬は頻脈を伴う例,労作性狭心症,慢性心不全治療などに限定して用いられる.降圧剤の併用として,Ca 拮抗剤+RA系抑制剤,RA 系抑制剤+利尿剤,Ca 拮抗剤+RA 系抑制剤+利尿剤がよく用いられる.
  8. 高血圧性緊急症には,加速型-悪性高血圧,高血圧性脳症,脳内出血・くも膜下出血,急性左心不全,急性心筋梗塞,大動脈解離,子癇などがある.ニカルジピン,ニトログリセリンなどの持続静注が用いられる.大動脈解離にはβ遮断薬の併用,子癇にはヒドララジン静注が用いられる.
  9. 不安状態などを背景に血圧が上昇している一過性の血圧上昇では,中間持続型の Ca 拮抗剤(アダラート L10mg 等),即効性のある ACE 阻害剤(カプトリル 25 mg 等)の内服を用いてもよい.
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高血圧診療の実際

③検査
 全身状態の把握,心血管病の危険因子,臓器障害・心血管病合併,二次性高血圧の鑑別を行う.一般検査(表38)は初診時と年1 回は行う.内分泌性高血圧のスクリーニング検査として,表5 がある.臓器障害の評価に表39 がある.
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表5 内分泌性高血圧のスクリーニング(再掲)
表はPC版サイトをご覧ください
表38 高血圧の一般検査
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表39 臓器障害の評価
表はPC版サイトをご覧ください
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