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重症筋無力症(成人)

略称 MG
別名 myasthennia gravis

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 骨格筋の神経筋接合部とシナプス後膜の構成蛋白に対する自己抗体により神経筋接合部の伝導障害を生じる自己免疫疾患である.
  2. 眼瞼下垂,眼筋麻痺で発症することが多い.筋の易疲労性があることが特徴である.また,症状の日内変動があり,午後に症状が増悪する.
  3. 早期発症の患者の約 50%に胸腺過形成を,本症全体の約 20%に胸腺腫を合併する.
  4. 診断のための検査として,眼瞼の易疲労性試験,アイスパック試験,エドロホニウム試験,反復刺激誘発筋電図検査,単線維筋電図検査,血清抗アセチルコリン受容体(acetylcho-line receptor:AChR)抗体・抗筋特異的チロシンキナーゼ(muscle-specific tyrosine kinase:MuSK)抗体の測定がある.
  5. 治療法には副腎皮質ステロイド,免疫抑制薬,免疫グロブリン大量静注療法,血液浄化療法があり,患者の状態に応じて選択する.診療ガイドラインが発刊されており,これを参考にして診療を進める.
  6. 本症は厚生労働省の特定疾患治療研究事業に指定されており,医療費の公費補助の制度を利用できる.
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検査

  1. ①眼瞼易疲労性試験
     眼瞼を 1 分間挙上した状態を維持させる.眼瞼下垂が生じた場合と眼瞼下垂の程度が増強した場合に陽性と判定する.
  2. ②アイスパック試験
     凍らせたアイスパックをガーゼでくるみ,眼瞼に3~5 分間押し当てて,眼瞼下垂が改善した場合に陽性と判定する.
  3. ③エドロホニウム(アンチレクス)試験
    1. ①アンチレクス(塩化エドロホニウム)10 mg(1 mL 生理的食塩水で溶解する),硫酸アトロピン0.5 mg を用意する.血管を確保し,三方活栓を用いて,はじめに生理食塩水 1 mL を注入し変化の有無をみる(プラセボ効果).次いで,アンチレックス2 mgを静注し,30秒間に強いムスカリン効果(腹痛嘔吐,流涎など)がないことを確認(高度の除脈などの強いムスカリン症状があれば硫酸アトロピンを静注する)し,残り 6~8 mgを静注する.
    2. ②試験の前後で眼瞼下垂,複視,呼吸機能(1 回換気量の 10 回平均を指標にする)などの指標が明らかに改善した場合にのみ陽性と判定する.アンチレクスの効果は 5 分以内に消失する.なお,患者の承諾を得て,デジタルカメラかビデオカメラで撮影し,効果を確認するようにする.
  4. ④Harvey-Masland 試験(反復刺激誘発筋電図検査)
    1. ①末梢神経(尺骨神経,副神経など)を低頻度刺激(3~5 Hz)で繰り返し刺激し,活動電位の漸減(waning)を確認する.全身型の約 90%に出現する.
    2. ②筋無力症様症候群(Lambert-Eaton 症候群)の場合は単発刺激では複合筋活動電位は極めて低いことが特徴である.低頻度(数 Hz)の連続刺激では漸減(waning)し,10 Hz 以上の連続刺激で 2~10 倍の著明な漸増(waxing)を示す.
  5. ⑤単線維筋電図検査
     同一神経に支配されている2つの筋線維の活動電位を同時に測定し,両者の潜時差の変動(ジッター, jitter)を測定する.神経筋接合部の伝導の指標になる.
  6. ⑥血清抗 AChR 抗体,抗 MuSK 抗体(いずれも保険収載されている)
     抗 AChR 抗体は全身型の 90%,眼筋型の 50%に出現する.抗MuSK抗体は全体の5~10%に認められ,抗AChR抗体陰性例の約30%で陽性である.ただし,両者の抗体が陰性の例も存在する.
  7. ⑦胸部 CT,胸部 MRI
     胸腺腫または胸腺の異常が認められることがあり,胸部 CT または MRI で検索する.
  8. ⑧その他
     甲状腺機能亢進症の合併の除外のため,甲状腺機能検査を行う.

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